■J_Coffeeの徒然草(1巻)■

---目次---
  • IT革命について
  • 会社四季報の思い出
  • 子供の株主
  • ITバブルの崩壊について
  • 頑張れ!場立ち経験者
  • 有価証券報告書と就職
  • 仕手株について
  • ストック・オプションは、企業を変える
  • 株主優待制度の思い出
  • J Coffeeの為替見通し
  • 黄河は枯渇する
  • ペイ・オフと資金の大移動
  • 日本の国家財政の破綻
  • 今年の夏は、何故暑い
  • 次世代携帯電話
  • 思い出の相場師小説「大番」
  • トイレットペーパー買占め騒動
  • 2巻へ
  • 小説紹介2「赤いダイヤ」

  • (2000/6/3)
    IT革命について

    私はインターネットによる多大な恩恵を受けている人間の1人だと思っています。オンライン取引の手数料は、今までの10分の1程度に減らせましたし、真夜中でも、早朝でも成約する確率の少ない安値の買い指値を営業マンに気兼ねせずにだすことが可能になり、取引環境は昔と比べると格段と快適かつ効率的になりました。会社情報の収集労力もほとんど要らなくなりました。
    さて、前置きは、この程度にして、IT革命のインパクトを説明する3通りの表現を紹介したいと思います。

    1. インターネットは、グーテンベルグの活版印刷の発明に相当する。

    この表現は、印刷機によりこれまで手書きで写されていた本が安価になった歴史と、インターネットの持つ情報伝達の低コスト性を結びつけたものです。しかし、インターネットのような人類史上に輝く大発明を印刷機と同列に扱うのは、不当だとおもいます。

    1. IT革命は、農業革命、産業革命に匹敵する歴史的大事件である。


    すなわち、農業の発明により、人類が狩猟生活から開放され人口が飛躍的に増加した(農業革命)。あるいは、ワットによる蒸気機関の発明を契機として、手工業がすたれ機械的大工業が確立し、社会的経済的な大変化がおこった(産業革命)。この時と同規模のインパクトがパソコンと通信手段の融合によってもたらされる。

    この表現も、IT革命の本質を捉えていると思いますが、心情的には、次の表現のほうが私は好きです。

    3.インターネットは、「文字の発明」以来の影響を文明の発展に及ぼす。

    「文字の発明」以前、人類は、100万年を経ても文明を築くことができなかった。個人の一生の経験や発見を十分に後世に伝えられず、子孫は、同じ失敗を繰り返した。「文字の発明」は、知恵の累積を可能にし、やがて文明が築かれた。

    インターネットというコミニケーション手段は、本来なら、絶対に会う確率のない極めて狭い特定の分野における多くの人々を結びつけ互いに影響をうけ、時代の経過とともに人類の新しい進化が促される可能性があると思います。

      

     ◆◆ 以上がI T株に関する「光」の部分です。◆◆
    後編は、「影」の部分を解説しております。◆

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    (2000/6/9)
    ITバブルの崩壊について

    一般論としてバブルの発生から崩壊までの現象は、次の四期間に分けられます。
    株価の上昇(初期)
    PERは、成長株か衰退株かでその適正な値が違ってきます。IT革命は、前に述べたとおり何百年に一度の大事件ですので,株の先高感が強くなりPERが大きくなっても不思議はありません。 IT関連株は,最初のうちはIT革命の重大さに逸早くきずいた人々によって買われ上昇していきます。

    株価の暴騰
    やがて、インターネットの将来性が、広く知られるようになると、多くの買い方が参加します。連日株価高騰のニュースが流れ、市場が熱気と興奮に包まれます。まさしく「上がるから買う、買うから上がる」という強い循環が生まれ、IT株を持っていない投資家は、「持たない恐怖」にとりつかれます。

    IT株は、あらゆる株価理論を超えて上昇し続けます。冷静な人はこの暴騰に疑問を抱き始めますが、誰もこの流れには、逆らえません。(もし、空売りで立ち向かえば破産が待っています。)

    相場の変り目
    株を買ったことのない主婦がヘソクリを懐に証券会社を訪れ「IT株が欲しい」との注文を出したという話がでてくると熱狂相場は、終わりに近いそうです。

    永遠につづくと思われた相場が、どの時点で変わるのか?

    それがわかるのが、本物の相場師でしょう。ナスダックの暴落。象徴的な銘柄の悪評判が週間誌にスクープされる。あるいは、タイミングさえよければ、蝶の羽が引き起こす微小の空気の動きのような些細なきっかけでもよいそうです。それで流れは、静止し、やがて重力の法則に従い自然落下します。

    バブルの崩壊
    ある日、突然ガラ(大暴落)が始まります。成り行きの売り注文ばかりで、買い手は何処にもいません。取引は、出来ず値段だけがストップ安で引けます。その後も長期間の値下がりが続きます。反発する日もありますが一時的で流れの方向は変わりません。信用取引で買っていた人が追い証を払えず、破滅します。
    その影響はやがて実態経済に波及し、買い控えがおき企業は設備投資を削減し、最終的には世界中が大恐慌に陥ります。


    ◆◆◆少し極端な話をして、脅かしてすみません。◆◆◆

    ◆◆実際は、もっとソフトランディングする可能性が高いと思います。◆◆
    ◆◆しかし、アメリカの状況がこのまま収まると考えるのも危険です。◆◆
    ◆敢えて最悪のシナリオをご紹介しました。◆

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    (2000/6/25)
    仕手株について

    仕手とは、能楽、狂言の主人公の意味だそうですが、株の世界では、巨額の資金量を特定銘柄に投入して投機を行うプロの相場師のことをいいます。

    仕手株とは仕手筋が好む株のことで、一度玄人に狙われた株は、
    合理的な理由がまったくなくても、強引に買われ暴騰します。

    ときには、仕手筋が、同じ銘柄に関して買い方、売り方の二派に分かれて攻防戦になることがあります。これを仕手戦といいます。各陣営の中心人物は、「買い本尊」「売り本尊」といわれます。

    本尊の真似をして、株の売り買いをする人のことを提灯筋(ちょうちんすじ)といいます。仕手筋は、逃げ足も素早いので一般の人は仕手株には、近づかないほうが賢明です。

    なお、アメリカでは、買い方(強気筋)は、突進する雄牛(ブル)に例えられ、売り方(弱気筋)は、立ち上がった熊(ベア)に例えられます。雄牛と熊の戦い、迫力ありますね。

    仕手戦は、プロ野球のように観戦だけして楽しむのが良いようです。

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    (2000/8/2)
    J Coffeeの為替見通し

    円相場は、輸出産業の株価に大きな影響を及ぼします。そこで、今日は少し独断的ですが、私の為替相場に関する見通しについて、述べたいと思います。

    私は、トレーダーでないので、短期的な為替動向はわかりません。しかし、10年20年という長期的スパンを考えると、為替相場は円安に向かうと信じています。その理由は、3つあります。

    1.日本人の老齢化が急速にすすむ
    今後世界でも例がない速度で、老人の占める率は、上昇していきます。働く人が少なく、厚生年金や貯金で暮らす人の多い国の通貨が強くなるはずがありません。

    2.働き過ぎる日本人が少なくなった
    私が新入社員だった昭和53年頃、10年、20年先輩の人の仕事に賭けるエネルギーには圧倒されました。彼ら企業戦士は、明らかにワークホリックで、全てを会社に捧げ、日本の高度成長を支え、円高と豊かな生活を築きました。
    彼らの半分は既に引退し、残りもあと10年で会社を去ります。

    彼らの子供たちは、兄弟も少なく豊かさの中で育ち、どちらかと言えば甘やかされ、父親のようには、けっして働き過ぎないでしょう。日本は、世界的に並の国に近づくのです。

    3.日本の国家財政が破綻しています
    日本の国債残高は多すぎます。不況対策の名のもとに、効率の悪い公共事業をやり過ぎたのです。

    インターネットのインフラの整備とか、小中学生に対するパソコン教育とか、もっと日本の将来のための有効な税金の使い方があったはずです。
    このつけは、調整インフレと通貨の下落と言うかたちで若い世代が支払うしかないでしょう。


    私は、米ドルのMMFを一定割合保有して円安に備えています。(本当は、株に回したいのですがリスク分散が必要です。)

    今日のレートは、108円です。

    ◆◆いろいろ書きましたが、この予測当たるでしょうか?◆◆
    ◆◆ドル投資も自己責任でお願いします。◆◆

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    (2000/8/20)
    日本の国家財政の破綻

    日本の国債残高は、2000年3月末で335兆円になったそうです。国債の利払いと元金返済の合計は、約20兆円で国家の収入47兆円の何と43%を占めるのです。

    解かり易くするために、これを家計に置き換えて見ましょう。

    年収470万円の4人家族がいるとします。1970万円の住宅ローン【建設国債】で一戸建てを買ってしまいました。
    生活費が足りなくなり、金利の安いサラ金から1370万円ほど借りました。
    【これを赤字国債といいます】

    月給39万円(ボーナスなし)からローンの返済で17万円が天引きされて手取りは22万円しかありません。

    奥さんは、生活できないのでパートで働き収入を増やそうと考えています。
    【つまり、消費税率の大幅引き上げですね。】

    旦那さんは、家計が危機的なのに、子供が大きくなるから必要だ【不況対策の公共事業】と言って、一回り大きな家に買い換える契約を勝手に結んでしまいました。来年は、車とパソコンを買い換える予定です。まだまだ、買う必要のあるものは、たくさんあります。

    不況で月給は、今後も増えません。2つの借金は、年々増えていくでしょう。

    ◆◆さて、この計画性のない家族【日本人】の運命は◆◆
    ◆◆いったい、どうなるのでしょうか?◆◆

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    (2000/6/30)
    会社四季報の思い出

    私の父方の祖父は、晩年、株の取引のみで生計をたてていた無名の相場師でした。私がまだ子供の頃、祖父は、老衰で亡くなりました。告別式に参列すると、祖父の棺の中に、最愛の家族の写真と並んで小さくしかも分厚い、光り輝く一冊の本が入れられていました。
    それが、私と株式投資愛好家のバイブル「会社四季報(東洋経済新報社)」との初めての出会いでした。

    その後血は争えないもので、大学時代から株を始め、やがて熱中し、四季報とも今日まで30年近くの付き合いになります。(年がバレますね。)四季報は、「会社情報(日本経済新聞社)」と共に、多くの株式投資家にとって唯一絶対の情報源でした。

    その発売日を事前に本屋でチェックすることは、重要でした。誰よりも早く本を買い、その日は、夜更けまで読み漁り、良い株の材料を探しました。朝一番、眠気とともに証券会社に注文をだし、疲れから仕事のミスをしたこともあります。

    そんな私が今年の夏、四季報の購入を見送りました。もはや、私の告別式の棺にこの本が入れられることは、けっしてないでしょう。

    まだ、四季報を手離せない人へ最後に一言
    本を捨て、インターネットの豊饒(ほうじょう)な世界へ旅立ちましょう。
    この世界では、毎日が発売日なんですよ。

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    (2000/7/3)
    頑張れ!場立ち経験者

    若い方は、場立ち(ばだち)を知らないでしょうね。つい最近まで、東証では、証券会社の場立ちと呼ばれる人達がポストの周りで株の取引を仕切っていました。昔のテレビ局は、楽ができました。株式市場が活況のときは、多くの場立ちが忙しく手を動かすシーン、閑散なときは、彼らが退屈で欠伸するシーンを放送すれば、よかったのです。

    銘柄などを特定する手サインが決まっていて、例えば、鼻を手でつまみ臭いしぐさをすれば「東京ガス」、自分の眼を指差せば「目薬のロート製薬」、手のひらを見せれば「買い」、手の甲を見せれば「売り」と言った具合。場立ちの動きは、ユーモラスで絵になりました。

    株式番組の多いラジオ短波も、東証の専門ブースから場立ちやポストの中にいる才取会員の動きを実況放送していたのです。

    そんな彼らの仕事に、コンピュータ化の嵐が容赦なく襲ってきたのです。場立ちによる取引は合理化のためにだんだんと縮小され隅に追いやられました。風聞によれば、ついに今年、明治11年以来続いた場立ちという職業は完全に消滅したそうです。

    彼らは、相場観を鍛えられているとの理由から、証券会社のディーラー部門に配置転換される例が多かったようです。しかし、そこは、実績だけが評価される厳しい世界、天才的な成功者が生まれる一方、多数の場立ち経験者が、バブル崩壊後リストラされ証券会社を去ったという、うわさです。(間違っていたら謝ります。)

    最近、ある中小企業の経営者から、
    「場立ち経験者が求人に募集したので採用した。彼は、仕事の覚えが早く実に優秀だ。」との話を聞きました。

    場立ちは、機敏さと正確さを要求される仕事です。今までの経験はきっと役に立つはずですよ。

    負けるな。頑張れ!場立ち経験者

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    (2000/7/6)
    ストック・オプションは、
    企業を変える

    タクシーの運転手さんの給料は、水揚げに対する歩合制になっています。もし、これが固定給だったらどうなるでしょうか?働いても、働かなくても給与が同じなら誰も一生懸命仕事をせず、社会主義が崩壊したように、タクシー会社は、倒産してしまいますね。

    株式会社で一番責任が重いのは、社長、取締役などの幹部社員です。彼らを運転手さんの例と同様に、死に物狂いで働かせる動機付けを行うには、どうしたら最も合理的でしょうか?

    その答えがストック・オプションです。

    ストック・オプションとは、株式買い入れ選択権のことで、これは、一定期間中に一定価格で自社増資株の一部分を買い入れる権利を意味します。

    資本主義の本拠地アメリカで発展した制度で、通常株式会社の社長、取締役などに将来の成功報酬として付与されます。
    つまり、株価が大幅に上がれば多額の値上がり益を手中にできる一方、株価が値下がり(若しくは、横ばい)のときは、ストック・オプションは、無価値の紙くずになります。
    幹部は、業績を向上させ株価を上げようと必死に努力しますし、株主にとっても株価の上昇は大歓迎です。

    ◆◆日本でもストック・オプションを取り入れる企業は、増えています。◆◆
    有価証券報告書を調べれば、企業のストック・オプションの採用状況がわかります。◆
    ◆◆採用した企業は、見違えるようによくなるでしょう。◆◆

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    (2000/8/6)
    黄河は枯渇する

    NHKの中国古代文明を見て衝撃をうけました。黄河流域に古代国家が生まれた数千年前、その地域は象の生息する森林地帯で母なる黄河には水があふれていました。

    その黄河が、今まさに枯渇し完全に消滅しつつあるのです。

    古代文明の遺跡の周辺は、今日では砂漠地帯です。地下水の水位が低く、飲料水にも不自由する中国で最も貧しい地域の一つだそうです。

    野放しの森林伐採による砂漠化の影響、劇的に速い地球の温暖化、農業用水や工業用水の増加等いろいろ原因は挙げられるでしょう。

    この現象は、世界がもっと注目しなければならない恐るべき環境変化だと思います。数千年続いている中華文明を支えた基盤が崩れようとしているのです。

    沿岸地域で経済発展が続き、急速に豊かになりつつある中国はどんな行動にでるでしょうか?

    長江の水を黄河にひく計画もあるようですが、完成は遠い将来の話。それまでの間、事態は深刻化する一方でしょう。

    12億人の人口を擁する中国が旱魃(かんばつ)による食料不足に陥り、
    穀物の輸入拡大に走り、世界的な食料危機が近い将来発生する可能性が高いのです。

    大豆、とうもろこし、豚肉(輸入飼料で飼育される)、卵の値段が暴騰して、食料を外国に依存する割合の高い日本の受ける打撃は、計り知れないと思います。
    一方、食料輸出大国のアメリカ、オーストラリアは外貨と政治的発言権を得るでしょう。

    ◆◆日本人が毎日肉を食べられない日がくるかもしれません。◆◆

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    (2000/8/24)
    今年の夏は、何故暑い

    私が子供の頃(35年前)、東京の夏は今ほど暑くありませんでした。

    当時「熱帯夜」という言葉がありました。クーラーがないと(当時は大金持ちしかクーラーはありません)寝苦しい夜のことで、一夏に2〜3日ありました。ところが、今年は、毎日が熱帯夜、この言葉は、「特別暑い日」という本来の意味を失ってしまいました。たった35年で昔に比べ平均気温は、2〜3度上昇したのだと思います。雨の降り方も熱帯地方のスコールに似てきました。

    46億年の地球の歴史を調べると、約160万年前から現代までを新生代第四期というそうです。この時期は、氷河期と間氷期の繰り返しで温度変化が激しいそうですが、それでも2〜3度の平均気温の上昇に約一万年かかるそうです。

    たった、35年で1万年分の気温上昇とは、恐ろしいですね。

    産業革命以後の人間のエネルギーの浪費が、二酸化炭素の増加をもたらし、温室効果で気温が破局的スピードで上昇しているのは間違いないと思います。

    地球の未来のために炭素税が、先進国で導入される必要があるでしょう。皆が当然と考えている快適な生活が、砂漠化の進行、干ばつ、南極の氷の融解による海面上昇をもたらし、孫子の代には、大自然に復讐されるかもしれません。

    ◆◆季節感が、はっきりしているほうが、◆◆
    ◆◆クーラーやビールが良く売れ景気がよくなる◆◆
    ◆◆なんて言ってられなくなりますよ◆◆

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    (2000/9/28)
    トイレットペーパー
    買占め騒動

    取るに足らない出来事ですが、私の好みに合うのか、記憶に鮮明に残っているのが、トイレットペーパーの買占め騒動です。

    時代背景を説明すると、昭和48年10月6日イスラエルとエジプト、シリアの間に第四次中東戦争が勃発します。アラブ産油国は原油価格の引き上げや供給削減などを内容とした石油戦略を発動しました。原油価格は1バレル当たり3ドルから、最終的には12ドルヘと約4倍に急騰しました。(第一次オイルショック)

    原油価格が上昇すればインフレになるのではないか、という共通認識が生まれます。買占め売り惜しみで、価格が不当に上がるのではないかという不安が広まっていきました。(後に狂乱物価は実現します)

    その事件が始まったのは、11月2日頃だといわれています。突然、ある店からトイレットペーパーが売り切れでなくなります。別の店でも売り切れ。この情報は、口コミで急速に広まり、主婦は、トイレットペーパーが残っている店を必死で探し回ります。

    2週間後には、日本中のすべての店からトイレットペーパーが完全に消えてしまいます。

    そして、次は砂糖、洗剤が店から消えてしまいます。定価販売なのに飛ぶように売れるのです。工場は、休日返上で大増産、やがてトイレットペーパーは、店に再び姿を現します。皆が良かったと安心します。

    いったい誰が、買占めていたのでしょうか?

    実は、トイレットペーパーの供給量は、まったく減っていなかったのです。買占めをしていたのは、主婦自身でこの仮需要のためにパニックは起こったのです。そういえば、パニックがおきたのは、各家庭で長期保存が可能な物に集中していました。

    その後、トイレットペーパーは、いくら安売りしてもまったく売れず、工場は長期間の生産調整を余儀なくされました。

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    (2000/9/16)
    思い出の相場師小説
    「大番」

    昭和31年この小説が、週間朝日に連載されるとたちまちベストセラーになります。加藤大介主演の映画(四部作)を見たかたも多いと思います。

    私も、20年ぐらい前に読んだときは、途中でやめられず、睡眠不足になった経験があります。

    株やの小僧から身を起こし、サイトリ屋(株の御用聞きらしい)をへて、株の投機で富をつかむサクセス・ストーリー。

    株に関連したヤマ場は、二回ありました。戦前、富士証券の木谷さんが文字通り命をかけて手がけた鐘紡株相場。そして、戦後主人公のギューちゃんが、敵役の角政(モデルは、山崎種ニ)に、戦後に挑んだ皇国パルプや旭ガラスの仕手戦。

    この小説を読めば、戦前、戦後(昭和30年頃まで)の株式市場の時代背景を、楽しみながら勉強できます。

    愛嬌たっぷり、買い専門、猪突猛進、動物的カンで儲けの全てを買い載せて大勝負を仕掛ける、大衆に人気のある相場師、それがギューちゃんこと赤羽丑之介の持ち味なのです。

    愛人が13人もいる話には、閉口しますが、初恋の伯爵未亡人可奈子さんへの片思い、糟糠の妻(籍はありません)おまきさんは、よく書けています。

    ギューちゃんは、場立に囲まれて壮絶な最後を遂げますが、モデルといわれる相場師は、その後兜町を去り、今ではまったく人気がありません。

    大番は、小説の主人公がモデルを遥かに超えてしまった、希有な例なのです。

    ◆◆特に、若い方にぜひ一読をお勧めします。◆◆
    ◆◆ 大番〈上〉(下) 獅子文六著  ゼネックス◆◆

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    (2000/10/5)
    小説紹介2「赤いダイヤ」

    事業に失敗した木塚慶太は、千葉県茂原の海岸に行き、入水自殺を実行します。

    海の中で出会った相場師・森玄こと森玄一郎に救出されます。森玄は海で何をしていたのでしょう?

    この海は、黒潮と親潮のぶつかる場所、彼は毎日、海に入って水温をはかり、今年の北海道(帯広)の小豆の作柄を予測していたのです。

    小豆の二年続き(昭和28〜29年)の凶作を確信した森玄は、赤いダイヤを買占め三万俵を現引きします。彼には、巨大商社、宝井物産の穀物部長・佐藤がついていたのです。価格は、6000円から12000円まで暴騰します。

    そこで、森玄の前に強大なライバルが出現します。「凶作に買いなし」を信奉する、売りの本尊・松崎辰治が立ちはだかります。(彼のモデル、皆さんお分かりですね。)昭和29年、小豆10月限りの歴史に残る仕手戦がこうして火蓋をきります。松崎は理事長の立場を利用して、証拠金の率を引き上げますが、森玄は負けません。納会は真近、小豆は何処にもありません。買い方は勝利を確信します。

    ところが、納会直前、産地から松崎が必死にかき集めた小豆が到着。相場は暴落、相場師・森玄は、一億円の負債を抱え破産します。

    しかし、売り方は、空荷証券という不正行為をしていたのです。

    森玄は、命を助けた木塚慶太とともに復讐を誓います。相場の借りは、必ず相場で返してやる。

    面白そうでしょう。森玄のモデルは、雑穀商の吉川太兵衛さんという人です。彼を応援したのが、三菱商事で、この失敗(15億円を投資)は同社の不祥事に挙げられています。

    ◆◆作者の梶山季之さんの才能には、驚かされます。◆◆
    ◆◆後のポルノ路線に走らず、もっと経済小説を書いて欲しかった。◆◆
    ◆◆
    赤いダイヤ(上)(下) 梶山季之著 パンローリング◆◆


    (2000/7/12)
    子供の株主

    私が小学六年生の頃、今まで貯めたお年玉や小遣いを資金に、父は八幡製鉄の株を千株私の名義で買ってくれました。

    八幡製鉄の株は、当時50円台でしたが、その頃の私にとっては、数万円は、長年に渡り苦労して貯めた全財産と言ってよい金額でした。父から手渡された、名義書換が終了後の株券の裏側には、自分の名前が記入されており、「株主になったのだ!」との喜びがこみあげてきました。

    それからは、学校に行く前に、新聞の株式欄を見るのが日課となりました。また、株価の上下に一喜一憂するだけでなく、以前とは違った観点から物事を観察できるようになったと思います。

    いったい何が起こると株は上がるのか?
    鉄は何に使われるのか?
    市況関連株とはなんだろうか?
    鉄の輸出比率は?

    八幡製鉄は富士製鉄と合併し新日鉄と言う名に変わりましたが、自分一人で売れなかったこともあり、大学時代まで持ちつづけました。東京オリンピック後の不況、ニクソンショックと円の切り上げ、日本列島改造論が謳歌された頃のブーム、オイルショックと大不況。株を持っていたおかげでこれらの経済環境の奔流を、同世代のほかの人に比べて、より深く体験できたと確信しています。株を買い与えた父の狙いも、その点にあったのかもしれません。

    ◆◆父は三年前に他界しました。◆◆
    ◆◆私は、こうしたチャンスを与えてくれた父に深く感謝しています。◆◆

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    (2000/7/17)
    有価証券報告書と就職

    「ユウホウ」と言っても空飛ぶ円盤のことではありません。株の業界で、ユウホウは、有価証券報告書の略称なのです。

    有価証券報告書は、上場企業等が大蔵省に報告している公開資料で、各企業の実態を最も詳細に知ることができると言われています。

    もし、あなたが上場企業の社員で有価証券報告書を見たことがないのなら、勤め先の有価証券報告書をぜひ一度購入してください。その情報量の豊富さに驚かれると思います。

    実は、私も最初にユウホウを購入したのは、就職を決め奨学金をもらっていた企業のものです。その時、以下のことがわかりました。

    1. 役員の経歴から、その会社に特定大学の学閥があるかどうかの見当がつきます。

    2. 会社が保有している株、土地の内訳とその取得価格のリストから、企業の含み益(含み損)を計算できます。

    3. 全取引銀行と借り入れ金額のリスト、仕入先企業のリストから、その企業が倒産した時に被害を受ける銀行、仕入れ先企業の詳細がわかります。

    4. 子会社の一覧とその持ち株比率から、その企業グループの全容がわかります。

    5. 新製品製造設備情報や新工場の建設計画がわかります。

    6. 経営上の重要な契約から、外国への技術輸出、技術導入等がわかります。

    7. 研究開発活動、研究開発費、特許権収入等がわかります。
    貸借対照表も株主に送付してくるのとは大違いで、細目に分かれています。このほか使い方は無限、まさにデータの宝庫です。

    株式投資以外にも、就職の際の企業調査、ライバル企業の調査、経済記事のスクープの情報源等で活用できるでしょう。

    有価証券報告書は、大蔵省、東証等で閲覧することもできますが、九月初旬、政府刊行物センター、大規模な書店で特定企業のものを購入するのが、一般的でしょう。(その後、EDINETで無料で公開されました。)

    ◆◆こうした研究から私は、その企業の将来性のなさに気づき◆◆
    ◆◆内定を辞退し別の企業に入社しました。◆◆
    ◆その判断は正しかったようです。◆◆
    ◆◆

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    (2000/7/25)
    株主優待制度の思い出

    株主の楽しみの一つに株主優待制度があります。株主になるだけで、ただで映画がみられたり、航空券が安く買えたり、米や自社製品がもらえたりバラエティにとんでいます。また、不要なものは、金券ショップで換金できることもあります。

    同制度の一覧表は、会社四季報の巻末に載ってます。この中から、よく使用するもの、自分の趣味にあったものを提供する銘柄に目をつけると良いでしょう。

    私は、知人との外食を楽しみにしています。そこで、3年前レストランチェーンの「すかいらーく」を1600円で買いました。しかし、タイミングが悪く1200円まで下落。唯一の慰めは、2月と8月合計24000円分送ってくるグループの食券でした。

    この食券は、洋食だけでなく、中華料理(バーミヤン)、和食(藍屋)とグループに共通で使用でき、消費税もかかりません。

    食券のおかげで、日頃ケチで友人から人望のない私の評判もぐっと良くなりました。「皆さんのためにこの株は売らないから」私は知人に宣言しました。ところが、この株1年半前から、大暴騰、2000円を超えた時点で私は誘惑に逆らえず、知人との約束を破り売却しました。

    ところが、悪いことはできないものです。この株、その後も暴騰を続け今では、売った値段のなんと2倍の4000円、私は、約束を破った上に200万円も儲け損ねたのでした。

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    (2000/8/8)
    ペイ・オフと資金の大移動

    今は、どんなに破綻しそうな銀行に多額の預金をしても、利息と元金が保証されています。

    ところが、2002年4月1日(前は2001年4月1日だったが1年延長された。)になりペイ・オフが実施されると、銀行が破綻した場合一行につき1000万円までの元金が預金保険機構から保証されるだけです。残りは、何年もたって清算が終った時に一部が返ってくるだけです。

    つまり、例えば3000万円の貯金を1つの銀行にしている金持ちで、その銀行に少しでも不安を持つ人は、超過分の2000万円の資金を移動する必要があるのです。

    ペイ・オフのことを知っている人は、意外と少ないそうです。また、ペイ・オフが直前で再度延期されると考えている人も多いようです。

    ペイ・オフに関する詳しい情報はここをクッリクして預金保険機構から得てください。

    最近、1年延期されたペイ・オフは、どうなるのでしょうか。このまま変化がなければ2002年3月には、空前の資金移動が起こるでしょう。

    資金は、いったい何処へいくのでしょうか?

    まず、郵便貯金には行かないと思います。定額貯金の金利は低い上に、その運用先(財政投融資)の特殊法人、公社公団の抱える不良債権は深刻です。郵便貯金は、実は安全ではないかもしれません。

    私は次の受け入れ先が有望だとおもいます。

    1. 安全な東京三菱銀行等への預金の集中
    2. 2%と高利回りの公社債投信
    3. 高金利の米ドルMMF
    4. 安全な利回り株(例えば、電力株)
    内容のよくない銀行の破綻がおこる可能性があります。金融不安とドル資産へのシフトが進み、円安の進行が予測されます。 (今井きよし氏の著作を参考に書きました)

    ◆さて、ペイ・オフは本当に実施されるのでしょうか?◆

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    (2000/8/22)
    次世代携帯電話

    今年度の世界の携帯電話の販売量は、前年度比50%伸び4億1千万台を突破するそうです。

    携帯電話の三大メーカーは、ノキア、エリクソン、モトローラの北欧、アメリカ勢。しかし、中身の電子部品は、日本製のシェアが高く、今後も成長が見込まれる携帯は日本の製造業の希望の星です。

    さて、前置きは、これくらいにして本題にはいります。2001年、次世代の携帯電話がいよいよ登場するのです。次世代携帯電話には、次の特徴があります。

    1. 従来の方式が狭い周波数を使用していたのに対し、広帯域の周波数を(周波数拡散技術を利用)使用している。

    2. このため、情報の伝達スピードが速い。(例えば、動画が簡単におくれます。)

    3. 音質が、飛躍的によくなります。

    4. 国際的に標準化された規格です。(ITU(国際電気通信連合)でまとめられた。これを、IMT2000といいます。)
    次世代携帯電話には、次の2種類があります。

    1. W−CDMA
    日本、欧州主導。NTTDoCoMo、J-PHONE。
    拡散帯域幅5.0MHz、情報伝達スピードは最速。

    2. CDMA2000      
    アメリカ主導。AU。
    拡散帯域幅3.75MHz、設備コストは安価。

    ◆◆特に、W-CDMAという言葉は、これから携帯電話関係で◆◆
    ◆◆伸びる会社を探す上で重要なキーワードとなると思います。◆◆

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