■ドケチ列伝■

---目次---
  • ニッポン放送をめぐるケチな二人の争奪戦
  • ライブドア勝利の日
  • 大日本ドケチ教の教組・吉本晴彦(前編)
  • 大日本ドケチ教の教組・吉本晴彦(後編)
  • ドケチで不況を生き抜こう

    (2005/3/12)(最終修正3/26)
    ニッポン放送をめぐる
    ケチな二人の争奪戦

    さて、新株予約権の差止めが認められ、ニッポン放送をめぐる株の争奪戦は、俄然面白くなってきました。 少しとはいえ、ニッポン放送のホールダーとして、私は、昨夜祝杯をあげました。

    過去の経緯とスケジュールを次に示します。

    ニッポン放送株争奪戦
    日付 ライブドア
    シェア
    フジテレビ
    シェア
    始値 高値 安値 終値 出来高 備考
    2005年2月7日 6,000 6,040 5,990 5,990 76,940
    2005年2月8日 ライブドア参上 34.99% 12.30% 6,030 6,990 6,030 6,800 1,148,260 ライブドア9720270株
    ToSTNeT-1で購入
    2005年2月9日 7,800 7,800 7,700 7,800 1,041,210 出来高小計8200900  
     ライブドア
    872000株(10.6%)購入
    2005年2月10日 8,800 8,800 7,840 7,840 2,260,090 謎の大株主が8800円、
    130万株売却
    2005年2月14日 7,690 7,690 6,880 6,880 1,923,770
    2005年2月15日 6,580 6,820 6,500 6,640 1,239,710
    2005年2月16日 6,740 6,750 6,600 6,700 445,140
    2005年2月17日 6,790 7,070 6,750 6,850 496,870
    2005年2月18日 6,790 6,800 6,610 6,710 428,950
    2005年2月21日 37.65% 6,810 6,810 6,720 6,800 365,160
    2005年2月22日 6,860 7,250 6,720 6,750 983,840 出来高小計1637650 
     ライブドア
    626000株(38%)購入
    2005年2月23日 新株予約権の発行を発表 39.56% 6,790 6,850 6,730 6,800 653,810 6800円の大口取引が話題に
    2005年2月24日 6,200 6,350 6,160 6,280 777,530 出来高小計3393180  
      ライブドア876000株(26%)購入
    2005年2月25日 6,300 6,430 6,290 6,400 342,620
    2005年2月28日 6,450 6,850 6,450 6,700 386,140 村上ファンドは、2月末で1,127,800株(3.44%)を保有
    2005年3月1日 6,800 6,800 6,630 6,680 391,460
    2005年3月2日 6,600 6,630 6,540 6,580 203,440
    2005年3月3日 6,570 6,630 6,540 6,630 281,770
    2005年3月4日 6,530 6,530 6,380 6,500 432,250
    2005年3月7日 フジテレビTOBの成功 42.23% 36.47% 6,600 6,740 6,550 6,600 577,970 フジテレビがTOBで
    7,896,354株を獲得
    2005年3月8日 6,420 6,470 6,310 6,330 330,780 出来高小計816100
    ライブドア39万株(48%購入)
    2005年3月9日 6,230 6,300 6,000 6,250 305,660
    2005年3月10日 43.42% 6,150 6,370 6,100 6,360 179,660
    2005年3月11日 新株予約権の発行差止め
    仮処分決定
    6,260 6,360 6,120 6,300 212,090 出来高小計1216600
    ライブドア39.7万株(33%)購入
    同日朝、謎の時間外取引
    6000円、96000株(0.29%)
    後にトヨタの売却と判明
    2005年3月14日 44.63% 6,900 7,300 6,810 7,150 1,004,510
    2005年3月15日 46.24%
    (議決権49.8%)
    7,220 7,950 7,210 7,500 1,352,860 ライブドア52.8万株(39%)購入
    2005年3月16日 議決権で過半数超 6,800 7,100 6,500 6,500 469,120
    2005年3月17日 6,200 6,600 6,140 6,490 312,000
    2005年3月18日 6,310 6,520 6,310 6,370 290,600
    2005年3月22日 6,440 6,470 6,340 6,440 75,220
    2005年3月23日 高裁、仮処分を支持
    (市場修了後)
    6,480 6,480 6,240 6,280 169,550
    2005年3月24日 6,380 7,280 6,310 7,280 960,010
    2005年3月25日 株主名簿記載
    権利付最終日
    ? ? 6,780 7,240 6,500 6,500 526,190

    しかし、不満がつのります。

    そもそも、株の争奪戦というのは、株価が何倍にも高騰して、個人投資家はいい思いをするべきものなのです。

    しかるに、フジテレビの日枝久会長は、市場からの株の購入をしないと宣言し、TOBの価格も引き上げませんでした。 系列でもないのに市場価格より安い価格でTOBに応じた285の法人などの株主も、不思議な行動をとったものです。

    今から、市場で株を買い集め、ライブドアの50%を阻止すれば、フジテレビは、逆転できるかもしれません。

    昨年9月の株主名簿情報を握っているので、委任状争奪戦は圧倒的にフジテレビが有利です。 東京ガス144000株(0.44%)やトヨタ自動車96000株(0.29%)もフジテレビにつくでしょう。

    「高値の株集めが出来ないのは、日枝氏のケチな性格による」と私は思います。

    日経新聞によれば、3月11日までにライブドアは議決権ベースで47%の株を手に入れたそうです。
    これは、発行済株数ベースでは約44%を集めたことを意味します。

    換算係数=(発行済株数-議決権のない株数)÷発行済株数=
    =(38200000-2,333,790)/38200000=0.92885

    シェア(発行済株数)=シェア(議決権)×換算係数
    =47%×0.92885=44%

    ゴールは、3月25日。

    ライブドアは、残り9営業日で6%(200万株弱)を集められるかどうか?
    一日当たり22万株の購入しなければ、なりません。

    11日地裁の決定が出る前に、金に糸目をつけずにニッポン放送を買いあさるのが、真の相場師です。
    ライブドアの堀江氏の買いっぷりも、度が過ぎた倹約家(言い換えるとドケチ)といえそうですね。

    決定が発表されてからでは、株集めは大変ですよ。
    さて、週明け以降は、さすがに上がるのでしょうね?

    村上さんは、何%持っているのか?

    キャスチングーボードを握っていると噂される村上さんは、機が熟するのを待つのではないでしょうか。

    ◆◆むしろ私が少し警戒しているのは、◆◆
    ◆◆ケチな二人が高値買いを嫌い、妥協して手打ちとなることです。◆◆

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    (2005/3/16)
    ライブドアの勝利の日

    3月16日、日経新聞朝刊で「ライブドア『49.8%獲得』。議決権50%超は、確実に」という記事が載ります。

    ホールダーの私は、嫌な予感がします。 議決権のない株とは、外国人が20%を超して保有した結果、名義書き換えを拒否された株が大多数を占めます。

    2005年3月末時点では、外国人の持株は、ほぼゼロとなりますから、議決権ベースの数字には、本来は重要な意味がありません。
    しかし、発行済株数ベースを無視して、議決権ベースの数字のみを発表するホリエモンは、やはり株の才能があります。

    さて、日経新聞の威力は絶大で、ニッポン放送は700円安の6,800円で寄付きます。

    記念すべき、ライブドア勝利の日のチャートです。

    暴落に影響を与えたのは、昼頃に流された共同通信の以下のニュースのようです。

    ライブドアが保有しているニッポン放送株の比率が、議決権ベースで50%を超えたことが16日、わかった。

    複数のライブドア関係者が明らかにしたという。



    ライブドアは、買いを中断。
    午後1時40分頃、株価はストップ安に張り付きジ・エンドです。

    最後は、94,090 株の売り注文を残しました。

    ライブドアは発行済株数の過半数をめざして、安値を拾うかもしれませんが、もはや勝負はつきました。

    私は、昼休み辛くも逃げられました。
    防戦買いが不在の乗取りは、買い手市場・・・

    勉強になりましたね。

    ◆◆ 名門フジテレビは、弱小企業ライブドアに敗れ去り、◆◆
    ◆◆ニッポン放送は、ホリエモンに征服されます。◆◆

    ◆◆安値で手に入れた潤沢な同社の資産は、ホリエモンが支配するのです◆◆

    ◆◆ 日枝氏は、大軍を擁しながら桶狭間の戦いに敗れた今川義元のようです。◆◆

    (追補)書き終えたら、「議決権ベースで過半数は超えていない」との発表がライブドアからありました。今更ね〜。

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    (2003/4/15)
    大日本ドケチ教の教組・吉本晴彦(前編)

    吉本晴彦さんは、1923年9月江戸時代から資産家として有名な吉本家の一人息子として生まれました。一族は、大阪梅田の3000坪の大地主でした。

    吉本さんは、3才のとき父に、10才のとき母に先立たれます。その後は、祖父が彼を育てます。祖父は、ケチではありましたが暖かい人でした。

    13才の時、祖父も次の言葉を残し、他界します。

    「お前は、子供の身で財産を引き継ぐけど、自分の金だと思ったらあかん。ご先祖様から引き継いだ資産は、ケチになって大切に扱い、お前の子供にそっくり引き継ぐのだよ」

    悲劇は、そこから始まります。
    吉本さんの後見人になった叔父は、膨大な財産に目が眩みます。

    14才の時、吉本さんはリンパ腺炎にかかりますが、途中で医者が来なくなります。叔父は、食べ物もくれません。吉本さんは、衰弱して意識が朦朧とします。

    不審に思った吉本さんが、やっとの思いで医者を訪ねると・・・
    恐るべき事実が露見します。

    叔父は、医者に「子供は直ったから来なくていい」と嘘をついていました。
    吉本さんは叔父の殺意を看破します。医者の薬で、吉本さんは回復します。

    1940年、彼は、同志社予科に入り一人暮らしを始めます。叔父は、娘と結婚するように迫りますが、吉本さんはきっぱりと断ります。

    叔父が仕送りをしてくれないので、大金持ちでありながら、学費を稼ぐために吉本さんは働きました。太平洋戦争の最中の1943年9月30日、彼はついに叔父から財産を取り戻します。

    この日は、満20才の誕生日。法律上、後見人が必要なくなり、自由に財産を支配することが出来るようになったのです。

    しかし、その喜びもつかの間でした。

    召集令状で、中国へ。
    1945年、大阪大空襲・・・吉本家の家屋は全て焼失します。

    そして、終戦。
    故郷に戻ってきた、吉本さんは、年末のある日、衝撃を受けます。

    ◆◆やっとの思いで取り戻した吉本さんの土地に、◆◆
    ◆◆無法者達がバラックを建てて、居座ってしまったのです。◆◆

    ◆◆ どうしたら、よいのでしょう?◆◆

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    (2003/4/16)
    大日本ドケチ教の教組・吉本晴彦(後編)

    昨日までは空き地だったのに、たった一日でバラックは出来上がってしまいました。しかも、官公庁は今日から年末の休みに入ります。

    土地は、暴力団がらみの悪意ある者に計画的に占有されたようです。

    ・・・それから3日後・・・

    吉本さんは、建設会社の労働者60人を率いて、不法占拠のバラックを襲い、強引に撤去します。

    土地を取り戻した後、警察に出頭します(梅田村事件)。

    バラックの住人は、建造物損壊罪で吉本さんを告訴します。
    一審は、吉本さんが敗訴。

    ・・・しかし、事件から4年後・・・

    控訴審で、原判決は破棄され、吉本さんは正当防衛による無罪を勝ち取ります。
    また、この事件を契機に、不動産侵奪罪が刑法にくわわることになります。

    1973年、複雑な権利を関係を整理して、吉本さんは梅田の土地全体を更地にすることに成功します。

    そして、この年、吉本さんは、大日本ドケチ教を旗揚げします。

    その思想とは・・・

    ケチとシブチンは違います。

    シブチンは、人に迷惑をかけます。
    ケチは、お金や物や命を粗末にせず大切に扱おう、という考え方です。

    ケチな人は、死に金を使わず、生きた金の使い方をします。
    ケチは、経知と書き、済面において恵を絞ることなのです。

    さて、この宗教には、お経もあります。

    もったいない、もったいない、もったいない
    と3回唱えれば、ご利益があります。

    1976年、梅田に大阪マルビルが完成します。吉本さんの夢がかなった一瞬です。
    この円形の高層ビルには、第一ホテルなどがテナントとして入居しています。

    1989年7月アメリカの有力経済誌フォーブスは、恒例の「世界の富豪・そのランキング」を発表します。

    ◆◆バブルの全盛期、日本人はベスト10になんと6人も入ります。◆◆

    ◆◆ 大日本ドケチ教の吉本さんは、◆◆
    ◆◆資産70億ドル、世界第8位に輝きました。◆◆

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