■IPOの研究2■

---目次---
  • ダッチ方式(ジャスダック初値)
  • (TOPIX買い終値)/(上場日初値)
  • IPO投資の成功例に学ぶ

  • (2003/7/26)
    ダッチ方式
    (ジャスダック初値)

    クリムゾン(ジャスダック)の上場日に、ダッチ方式による初値を体験しました。

    「オランダ人は、ケチで人におごりたがらない」とイギリス人は陰口を叩いています。
    二人以上で、飲み屋に行って、「ダッチ方式にしよう」といったら、割り勘のことです。

    初値のダッチ方式とは、いったいなんでしょうか?
    同銘柄の一日チャートです。

    クリムゾン上場日の一日チャート(ダッチ方式)

    価格が決定するまで、板情報は、まったく公開されません。

    グラフの株価はわかりにくいですが、354,000円で1070株が取り引きされ、この日の取り引きはお終いです。上場日にしては、出来高は少なくなります。

    ダッチ方式とは、ジャスダック銘柄が新規上場した時の初値のつけ方で、一番買い注文と売り注文が交錯している値段で11:00に決定されます。前場一本値のみとなります。

    ジャスダックには、この他マーケットメイク銘柄による初値方式があります。

    今年、上場されたダッチ方式でのジャスダック銘柄の初値と公募価格の関係を調べてみました。

    ジャスダック銘柄(ダッチ方式)の初値と公募価格の関係
    上場日 銘柄 コード 市場 主幹事 仮条件 公募値 初値 上昇率 注目度
    6月11日 ハーバー研究所 4925 ジャス 新光 1300-1600 1600 5000 212.5
    6月10日 ゲンキー 2772 ジャス 新光 16万-20万 20万 55万 175
    1月30日 幻冬舎 7843 ジャス 三菱 80万-120万 120万 201万 67.5
    4月24日 ワコム 6727 ジャス 東洋 36万-39万 39万 65万 66.6
    2月13日 創建ホームズ 8911 ジャス 大和 5.5万-6万 6万 10万 66.6
    4月25日 鈴茂器工 6405 ジャス 大和 350-380 380 601 58.1
    6月12日 ミューチュアル 2773 ジャス 大和 750-850 850 1300 52.9
    4月25日 創通エージェンシー 3711 ジャス 日興 20万-25万 25万 38万 52
    4月10日 ヴィレッジヴァンガード 2769 ジャス 野村 32万-38万 38万 52.1万 37.1
    6月20日 一たかはし 2774 ジャス UFJ 240-280 280 350 25
    2月7日 積和不動産九州 8906 ジャス 大和 210-240 240 300 25
    2月25日 オンキヨー 6729 ジャス 野村 900-1050 1050 1200 19
    2月19日 シンクレイヤ 1724 ジャス 東海 480-540 540 610 12.9
    2月28日 セガトイズ 7842 ジャス 大和 430-500 500 530 6
    3月13日 ひらまつ 2764 ジャス 日興 19万-22.5万 22.5万 22.8万 1.3
    3月4日 サン・ジャパン 2315 ジャス HSBC 20万-24万 24万 24.3万 1.2
    3月26日 ドクターシーラボ 4924 ジャス 日興 37万-44万 44万 44.5万 1.1
    3月19日 フィールズ 2767 ジャス 新光 60万-70万 60万 60万 0
    3月6日 トシン電機 2761 ジャス みずほ 800-920 920 850 -7.6
    3月12日 エフティ 2763 ジャス 日興 26万-31.1万 26万 20万 -23
    3月6日 三光マーケティング 2762 ジャス 日興 17.5万-21.5万 18.5万 12万 -35.1
    平均 38.77
    標準偏差 58.37

    表は、初値の上昇率の高いものから順番に書いています。
    上昇率の平均値は、38.77%ですが、標準偏差は58.37%とバラツキが多いのが特徴です。

    少なくとも、マザーズと比較すると上昇率は見劣りします。
    ダッチ方式のせいでしょう。

    ◆◆ダッチ方式の初値は、幹事証券会社の方針が影響するといわれています。◆◆
    ◆◆ 値上がり銘柄には、新光と大和が目立ちます。◆◆

    ◆◆値下がり銘柄には、公募価格が仮条件上限で決まらないものが多いようです。◆◆
    ◆◆ 明日は、マーケットメイク銘柄も調べて、両者を比較したいと思います。◆◆

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    (2003/7/24)
    TOPIX買い終値/上場初値

    セイコーエプソンの株価は、上場3日目(6月26日)に底値3340円をつけた後反発し、12日目には、上場来高値3870円をつけ反落しました。 私の予測は、まぐれ当りしました。 いささか出来すぎです。初日に値上がりしたNECエレクトロニクスは、同じ動きにはならないでしょうね。

    今日は、セイコーエプソンのTOPIX買いの日でした。
    終値は3630円と急落し、上場初値3690円を1.6%も割り込みました。相当需給が悪化していたようです。

    セイコーエプソン

    野村総合研究所の(TOPIX買い日終値)は、(上場日初値)と比べて1.9%の値上がり、大同生命保険にいたっては、8.4%も値上がりです。

    (TOPIX買い終値)/(上場日初値)
    セイコーエプソン 野村総合研究所 大同生命保険
    上場日初値@ 3,690 14,850 320,000
    TOPIX買い日終値A 3,630 15,130 347,000
    TOPIX買い終値/上場初値A/@ 98.4% 101.9% 108.4%
    上場時発行済株式数B 191,864,592 45,000,000 1,500,000
    公開株数C 50,770,000 13,600,000 633,215

    この違いを説明するデータはないでしょうか? 上場日の出来高を発行済株数で割ると、セイコーエプソン14.95%、野村総合研究所14.59%、大同生命保険9.58%となります。

    この値が10%を下回るとTOPIX買いのインパクトが大きいと仮説を立ててみます。

    野村総研は、TOPIX買いの日まで17日しかなく、21日もあるセイコーエプソンと比べると有利です。

    上場からTOPIX買い前日までの出来高の累計を発行済株数で割るともっと説明できるデータとなります。

    セイコーエプソン43.55%、野村総合研究所32.52%、大同生命保険31.88%となり、数字が大きいほど(TOPIX買い日終値)/(上場日初値)が小さくなります。

    さて、今日上場のNECエレクトロニクスの出来高は、18,113,300株で、発行済株数123,500,000株 に対する割合は、14.67%でした。 TOPIX買い前日までの日数は22日です。

    さて、思いつき予測です。

    ◆◆NECエレクトロニクスのTOPIX買い日(8月25日)の終値は、◆◆
    ◆◆初値5350円とはぼ同じと占います。◆◆
    ◆◆ 3社のデータは、以下のとおりです。◆◆

    セイコーエプソン
    日付 終値 出来高D D/B
    2003年6月24日(上場日) 3,510 28,684,800 14.95%
    2003年6月25日 3,410 8,254,200 4.30%
    2003/6/26(上場後3日目) 3,380 3,526,100 1.84%
    2003年6月27日 3,580 3,516,800 1.83%
    2003年6月30日 3,570 2,043,900 1.07%
    2003年7月1日 3,660 4,315,100 2.25%
    2003年7月2日 3,670 2,285,700 1.19%
    2003年7月3日 3,580 2,241,100 1.17%
    2003年7月4日 3,690 1,846,200 0.96%
    2003年7月7日 3,670 1,065,600 0.56%
    2003年7月8日 3,770 5,257,900 2.74%
    2003年7月9日(12日目) 3,780 3,355,800 1.75%
    2003年7月10日 3,680 865,500 0.45%
    2003年7月11日 3,660 1,226,800 0.64%
    2003年7月14日 3,640 1,385,700 0.72%
    2003年7月15日 3,690 1,750,500 0.91%
    2003年7月16日 3,790 2,353,100 1.23%
    2003年7月17日 3,750 2,366,500 1.23%
    2003年7月18日 3,720 1,974,200 1.03%
    2003年7月22日 3,790 3,171,900 1.65%
    2003年7月23日 3,730 2,069,400 1.08%
    累計 83,556,800 43.55%
    2003年7月24日(TOPIX買い) 3,630 9,907,200 5.16%

    野村総合研究所
    日付 終値 出来高D D/B
    2001年12月17日(上場日) 14,050 6,566,900 14.59%
    2001年12月18日 13,900 1,358,100 3.02%
    2001年12月19日(上場後3日目) 13,960 921,800 2.05%
    2001年12月20日 14,230 533,800 1.19%
    2001年12月21日 14,550 508,000 1.13%
    2001年12月25日 14,100 140,700 0.31%
    2001年12月26日 14,890 416,300 0.93%
    2001年12月27日 15,320 835,900 1.86%
    2001年12月28日 15,380 229,200 0.51%
    2002年1月4日 15,310 168,800 0.38%
    2002年1月7日 15,900 585,500 1.30%
    2002年1月8日(上場後12日目) 16,080 718,700 1.60%
    2002年1月9日 16,100 400,800 0.89%
    2002年1月10日 15,920 231,000 0.51%
    2002年1月11日 15,850 190,900 0.42%
    2002年1月15日 14,930 452,500 1.01%
    2002年1月16日 14,990 374,800 0.83%
    累計 32.52%
    2002年1月17日(TOPIX買い) 15,300 1,725,800 3.84%

    大同生命保険
    日付 終値 出来高D D/B
    2002年4月1日(上場日) 306,000 143,634 9.58%
    2002年4月2日 298,000 29,901 1.99%
    2002年4月3日(上場後3日目) 300,000 17,969 1.20%
    2002年4月4日 301,000 19,712 1.31%
    2002年4月5日 301,000 10,820 0.72%
    2002年4月8日 301,000 11,347 0.76%
    2002年4月9日 317,000 38,600 2.57%
    2002年4月10日 333,000 40,905 2.73%
    2002年4月11日 337,000 20,870 1.39%
    2002年4月12日 336,000 17,626 1.18%
    2002年4月15日 339,000 15,155 1.01%
    2002年4月16日(上場後12日目) 347,000 19,044 1.27%
    2002年4月17日 343,000 14,684 0.98%
    2002年4月18日 339,000 7,524 0.50%
    2002年4月19日 334,000 7,739 0.52%
    2002年4月22日 334,000 8,540 0.57%
    2002年4月23日 327,000 9,885 0.66%
    2002年4月24日 325,000 8,792 0.59%
    2002年4月25日 333,000 11,669 0.78%
    2002年4月26日 335,000 8,533 0.57%
    2002年4月30日 336,000 15,246 1.02%
    累計 478,195 31.88%
    2002年5月1日(TOPIX買い) 347,000 74,179 4.95%

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    (2003/7/14)
    IPO投資の成功例に学ぶ

    今年のIPOのうち、初値が公募価格に対する上昇率ベスト10を次にまとめます。 上昇率は101.6%から300%・・・言い換えると2倍から4倍になっています。

    思わず、溜息がもれます。

    6月(先月)、上位に3社も入っているのが、注目されます。
    IPOバブルは、現在進行形なのです。

    公募価格が仮条件の上限で決まった会社は、9社です。
    上限値で決まることは、高上昇率の必要条件です。

    主幹事の欄をみると、新光証券が4社も入っているのが、目立ちます。新光証券は、今年9社を公開させており、44.4%がベスト10入りです。(ちなみに平均は、10社/56社=17.9%)
    新光がらみは、何故高くなるのか?
    ご存知の方は、教えてください。

    IPOの成功例
    上場日 銘柄 コード 市場 主幹事 仮条件 公募値@ 初値A 上昇率
    A/@-1
    公開株数 注目度 予想EPS 予想PER(公募価格)
    6月12日 ネットマークス 3713 東2 野村 8.2万-10万 10万 40万 300 6050 (連結予想) 2004.3 11,878.88 8.4
    6月11日 ハーバー研究所 4925 ジャス 新光 1300-1600 1600 5000 212.5 75万 (連結予想) 2004.3 169.26 9.5
    5月30日 情報企画 3712 マザ 新光 23万-28万 28万 85万 203.5 1500 (単独予想) 2003.9 16,849.69 16.6
    3月14日 日本風力開発 2766 マザ 日興 17.5万-20万 20万 60万 200 4025 (連結予想) 2003.3 5,302.22 37.7
    6月10日 ゲンキー 2772 ジャス 新光 16万-20万 20万 55万 175 1200 (連結予想) 2003.6 31,429.43 6.4
    2月25日 シーフォー 2355 マザ 大和 45000-55000 55000 150000 172.7 6900 (単独実績) 2002.3 297.5 184.9
    2月18日 日本駐車場開発 2353 ジャス 大和 10.5万-13万 13万 32万 146.1 2000 (連結予想) 2003.7 13,262.76 9.8
    7月2日 三井海洋開発 6269 東2 野村 840-1000 1000 2100 110 747.5万 (連結予想) 2003.12 68.75 14.5
    4月21日 オー・エイチ・ティー 6726 マザ 新光 20万-25万 25万 51.8万 107.2 1420 (連結予想) 2003.4 8,752.12 28.6
    1月30日 アドミラルシステム 2351 マザ 明光ナ 11万-14万 12.5万 25.2万 101.6 2500 (連結予想) 2003.3 8,593.26 145.5

    市場別では、 マザーズが5社も入っています。今年のマザーズの公開会社は15社なので、打率は3割3分3厘、イチロー並です。(ちなみに平均打率は、1割7分9厘です。)

    注目度については、Aが3社、Cはさすがにありません。しかし、あまり参考にならないB判定が7社もあります。

    ◆◆予想PERは、全く参考になりません。◆◆
    ◆◆ 「初値は、需給が決める」というのが、結論です。◆◆

    ◆◆ IPO神話に私も乗りたいという気持ちは強くなりましたが、◆◆
    ◆◆NECエレクトロニクスは当たりませんでしたね。◆◆

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