■J_Coffeeの徒然草(39巻)■

---目次---
  • 国民年金の損得(前編)
  • 競馬必勝法(頑張れハルウララ)
  • 高橋尚子落選と企業の憂鬱
  • ソトーのTOB(前編)
  • ソトーのTOB(後編)

  • (2004/3/24)(最終訂正3/28)
    国民年金の損得(前編)

    国民年金の納付率は、6割まで下がっているそうです。
    社会保険庁は、納付促進に江角マキコさんを起用します。

    「将来、泣いてもいいわけ?」
    「誤解。国民年金がもらえなくなるかも、って言ったの、誰?」
    という彼女の挑発的なポスターは、印象に残りました。

    「その江角マキコさんが国民年金未納」という事実が露見して、ビックリです。

    さて、今日は、国民年金の損得を計算してみましょう。
    厳密に解くのは、大変なので、概算を使います。

    計算の基礎は、このページ(昭和16年4月2日以降の生まれの人)を使いました。

    20歳から60歳までの40年間、国民年金は、かけられます。
    現在の保険料は、13,300円です。

    最長の40年間かけ続けると、総保険料は

    13,300×12×40=6,384,000円

    40年間かけた人は、65歳から死亡するまで、毎年797,000円を受け取ります。 20歳の時点での平均余命は、男59年、女66年とします。つまり、死亡年齢は、男79歳、女86歳と仮定します。(根拠)

    この年齢まで生きると仮定すると、支給年数は男14年、女21年になります。
    男女で7年の格差があることに注目してください。
    支給総額は、男11,158,000円、女16,737,000円

    (男性の場合)
    11,158,000円÷6,384,000=1.7478

    保険支払いの中心時期は、

    (20歳+60歳)÷2=40歳

    支給の中心時期は、

    (65歳+79歳)÷2=72歳
    72-40=32年間

    国民年金は、「40歳の時、6,384,000円を一度に貯金し、32年後に元利合計11,158,000円が一括して返ってくる金融商品」と近似できます。

    複利計算で、この金融商品の金利を求めると

    N=(log1.7478)÷32=0.0075779
    10のN乗は、1.0176

    したがって、男性の場合の金利は、1.76%に過ぎません。保険料を払わない人が出てくるのも理解できます。
    低いですね。

    しかも、国民年金制度は、将来改悪される可能性が高いのです。また、支払い期間が、25年間に満たなければ1円も返ってきません。

    (女性の場合)
    16,737,000÷6,384,000=2.62171

    支給の中心時期は、

    (65歳+86歳)÷2=75.5歳
    75.5-40=35.5年

    N=(log2.62171)÷35.5=0.117911
    10のN乗は、1.0275

    女性の金利を求めると
    2.75%に上昇します。

    ◆◆私は、国民年金は、「女性有利、男性不利」と読みます。◆◆
    ◆◆ 明日は、国民年金をいつ受け取るべきかについての研究です。◆◆

    ある方から次のご指摘にありました。
    以上は、国民年金の老齢基礎年金についての計算です。 国民年金には、遺族基礎年金と障害基礎年金もあります。参考現実の金利はこの分を考慮する必要があるでしょう。

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    (2004/3/22)
    競馬必勝法(頑張れハルウララ)

    3月22日、高知競馬、第10レース。

    「105連敗中の超人気馬ハルウララは、今日こそ勝てるかもしれない。」と高知競馬場には、1万3000人が入場しました。
    天才騎手・武豊が、ついにハルウララに騎乗するのです。

    ハルウララのオッズは、一時たったの1倍になります。 最終オッズは、1.8倍でした。

    この値が3を下回れば、競馬に必勝法が成り立ちます。参考1
    通常、ハルウララは2番人気ですから、今回は千載一遇の儲けるチャンスでした。

    これを次の表で検証しましょう。参考2

    競馬必勝法(頑張れハルウララ)
    馬   名 単勝式
    最終オッズ@
    A=1/@ 得票率B ハルウララを
    除いた得票率C
    馬券購入の
    最適戦略D
    払い戻し金
    E=@×D
    利益率
    (E-27)/27-1
    1 カガノジョテイ   7.4 13.51% 10.18% 17.49% 5 37 37.04%
    2 シルクコンバット  8.3 12.05% 9.07% 15.60% 4 33.2 22.96%
    3 フアストバウンス  4 25.00% 18.82% 32.36% 8 32 18.52%
    4 グラスホッパー   34.7 2.88% 2.17% 3.73% 1 34.7 28.52%
    5 ハルウララ     1.8 55.56% 41.83% 0.00% 0 0 -100.00%
    6 ウォーターシュート 48 2.08% 1.57% 2.70% 1 48 77.78%
    7 レディサバンナ   15.7 6.37% 4.80% 8.24% 2 31.4 16.30%
    8 バンナシャネル   16.8 5.95% 4.48% 7.70% 2 33.6 24.44%
    9 サパースファイター 54.9 1.82% 1.37% 2.36% 1 54.9 103.33%
    10 シアトルスワン   51.7 1.93% 1.46% 2.50% 1 51.7 91.48%
    11 ローズプレイヤー  17.7 5.65% 4.25% 7.31% 2 35.4 31.11%
    合計 132.81% 100.00% 100.00% 27

    最初の数字@は、単勝式の各馬のオッズです。
    Aは、この逆数で、確率分布に似た数字です。

    確率分布ならこの合計は100%になりますが、高知競馬がピンハネする為に132.81%となります。
    Aを132.81%で割ると、得票率Bが算出されます。

    ハルウララは、全体の41.83%もの支持を集めました。この値は、ピンハネ率(通常は25%)を超えているのが面白いのです。

    我々株式投資家は、情に流されず常に冷徹な判断を下します。
    即ち、武豊が騎乗しても、折り紙付きの駄馬ハルウララの勝率は、限りなくゼロに近いとみなせます。

    ハルウララ以外の馬の勝率は、得票率に比例するとします。
    全部で27枚の馬券を買うことにします。

    27枚に確率Cをかけて四捨五入すれば、馬券購入の最適戦略Dが出てきます。

    @とDをかけて、各馬の払戻金を計算します。 どの馬が勝っても、27を大きく超える点に注目です。利益率は、16.3%〜103.33%。

    実際に勝ったのは2番人気のフアストバウンス、払戻金は400円でした。ハルウララは、10着です。

    ◆◆これは、ギャンブルではなく、株の裁定取引のような競馬必勝法です。◆◆
    ◆◆チャンスがあれば、実際に経験したいですね◆◆

    ◆◆ しかし、勝つはずのないハルウララが、もし来たら・・・◆◆

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    (2004/3/15)
    高橋尚子落選と企業の憂鬱

    アテネ五輪マラソン女子の日本代表が、野口みずき(グローバリー)、坂本直子(天満屋)、土佐礼子(三井住友海上)の3名に決定しました。

    シドニー五輪の金メダリスト、国民栄誉賞受賞のアイドル、高橋尚子は落選です。

    東京国際女子(2003年11月)の高橋のタイムは、2時間27分21秒の平凡な記録でした。 昨日の名古屋国際女子マラソンで、涙の逆転優勝を果たした土佐のタイムは、2時間23分57秒です。

    3分以上もタイムを引き離した土佐が選ばれたのは、公正で当然の結果です。

    名古屋で戦わずして落選を招いた小出監督の戦略が、悔やまれます。
    さて、笑顔の明るいQちゃんは、多くのスポンサーが殺到した高額所得者です。

    ガックリしている企業も多いはずです。
    悪趣味とは思いつつ、調べるのが私の生まれつきの性癖です。

    直ぐ浮かんだのが、キシリトールガムのロッテ、 2005年7月まで、高橋をイメージキャラクターに採用している中日新聞です。

    この2社は、かなりの打撃でしょう。
    しかし、残念ながら、非上場ですね。

    シューズウェアのアシックスは、このとおり、かなり高橋尚子に期待していたようです。

    タイトーは、「マラソンしようよ」というゲームソフトを発売していました。

    高木ブーが高橋尚子に変身するCMを流したのは、明治乳業でした。

    各スポンサーの担当者は、固唾をのんで発表を待っていたはずです。

    落選の報は、午後2時台に伝わります。
    「株価に、少しは影響するか?」と一日チャートを調べました・・・

    ◆◆結果は、全く株価に影響なし。◆◆
    ◆◆ こんな調査をしたことを後悔しましたね。◆◆

    ◆◆Qちゃん、負けずに新記録を出してください。◆◆
    ◆◆実は、私はファンなのです。◆◆

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    (2004/2/9)
    ソトーのTOB(前編)

    ソトー(東証2部、名証2部)は、毛織物染色の大手で無借金経営です。連結一株当たり資本(2003年9月)は、1631円もあります。 12月18日の株価は、890円ですから、PBRは、0.546倍の低水準です。

    19日、日経新聞と中日新聞にTOBの公告が掲載されます。

    米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン(SPJSF)による
    ソトーの株を公開買い付け(TOB)の概要

    公開買付期間・・・・ 平成15年12月19日〜平成16年1月26日の39日間
    買い付け価格・・・・ 1株につき1150円
    買い付け予定株数・・・ 3,197,000株(既に私有している1,855,000株と合計すると33.34%となる)
    公開買付代理人・・・・ ウツミ屋証券

    SPJSFは、2002年8月に9.08%のソトー株を保有したとの大量保有報告書を提出しています。その後買い増しして、TOBの直前には、発行済株数15,173,062株の12.2%を保有していることになります。

    SPJSFは、18日の夜、ソートーに電話連絡しただけという敵対的TOBでした。

    二日間のストップ高(出来高なし)の後、ソトーの株価は、1130円で寄り付きます。 買い付け価格(1150円)より、20円安いのは、目標所有比率が、33.34%と低いためでしょう。応募しても、外れる確率があるのです。

    ソトーの株価の推移
    日付 始値 高値 安値 終値 出来高
    2003年12月18日 890 890 890 890 1,000
    2003年12月19日
    (SPJSFがTOBの公告)1150円
    990 0
    2003年12月22日 1090 0
    2003年12月24日 1,130 1,132 1,130 1,130 18,000
    2003年12月25日 1,130 1,131 1,130 1,130 8,000
    2003年12月26日 1,150 1,150 1,126 1,139 10,000
    2003年12月29日 1,139 1,139 1,132 1,132 16,000
    2003年12月30日 1,132 1,135 1,130 1,130 61,000
    2004年1月5日 1,130 1,130 1,130 1,130 40,000
    2004年1月6日 1,130 1,130 1,130 1,130 75,000
    2004年1月7日 1,123 1,123 1,121 1,121 6,000
    2004年1月8日 1,121 1,124 1,101 1,124 8,000
    2004年1月9日 1,120 1,124 1,113 1,124 9,000
    2004年1月13日 1,122 1,127 1,120 1,127 13,000
    2004年1月14日 1,109 1,160 1,109 1,150 96,000

    ◆◆ソトーの経営者は、株主だけでなく、従業員や取引先も重視していました◆◆
    ◆◆このTOBを認めることは、絶対に出来ませんでした。◆◆

    ◆◆ 1月15日、ソトー側が、反撃にでます。◆◆

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    (2004/2/10)
    ソトーのTOB(後編)

    大和證券系のNIFは、ソトーの経営側の意向を受け、1月15日の市場終了後、TOBの提案を発表します。

    公開買付期間・・・・ 平成16年1月16日〜平成16年2月26日
    買い付け価格・・・・ 1株につき1250円
    目標所有比率・・・ 66.67%

    買入価格は、SPJSFの価格(1150円)を100円上回っていました。

    米系投資ファンド(SPJSF)とソトーの経営陣(NIF)の双方が、TOBで株集めを始めたのです。

    問題・・・・・・・翌日の株価は、どうなったか?

    答え・・・SPJSFの買入価格をさらに超えた1350円で寄り付きます。

    この日の出来高は、210,000株の大商いでした。

    翌日は、一時1540円まで買われました。しかし、ここが天井です。 その後は、23日まで、値下がりします。

    ソトーの株価の推移
    日付 始値 高値 安値 終値 出来高
    2004年1月15日(NIFがTOBを公告)1250円 1,130 1,150 1,130 1,150 22,000
    2004年1月16日 1,350 1,350 1,310 1,350 210,000
    2004年1月19日 1,400 1,540 1,350 1,400 206,000
    2004年1月20日 1,400 1,400 1,295 1,330 85,000
    2004年1月21日 1,300 1,320 1,251 1,320 68,000
    2004年1月22日 1,299 1,305 1,280 1,305 47,000
    2004年1月23日 1,290 1,300 1,270 1,300 118,000
    2004年1月26日(SPJSFが買付価格引上げ)1400円 1,399 1,490 1,399 1,485 136,000
    2004年1月27日 1,480 1,500 1,424 1,470 105,000
    2004年1月28日 1,470 1,470 1,440 1,460 39,000
    2004年1月29日 1,441 1,460 1,432 1,460 21,000
    2004年1月30日 1,441 1,460 1,440 1,460 43,000
    2004年2月2日 1,440 1,450 1,430 1,444 35,000
    2004年2月3日 1,427 1,440 1,413 1,440 37,000
    2004年2月4日 1,440 1,440 1,411 1,412 16,000
    2004年2月5日(NIFが買付価格引上げ)1470円 1,411 1,435 1,411 1,435 61,000
    2004年2月6日 1,467 1,479 1,467 1,470 178,000
    2004年2月9日 1,471 1,471 1,470 1,470 25,000
    2004年2月10日 1,471 1,471 1,470 1,470 38,000

    1月26日は、SPJSFのTOBの最終期限でした。

    この日、同社は2月16日までの期間延長と買い上げ価格を1400円に引き上げることを発表します。 同時に、目標所有比率も66.67%に引き上げられます。

    さて、この日の値動きです。
    寄り付きは1400円で始まりますが、その後は買い付け価格を上回る値段で推移します。

    両者の泥仕合は、さらに続きます。
    1月5日の市場終了後、NIFが買付価格引上げを1470円に引き上げます。

    その後は、1470円〜1471円に株価は、張り付きます。
    落ち着いた値動きから推定すると、そろそろ手打ち。

    ◆◆SPJSFが全株をNIFに売却して、巨額の利益を得る、と私は読みます。◆◆
    ◆◆ 次の注目日は、SPJSFのTOBの期限が切れる 2月16日です。◆◆

    (参考文献)日経新聞朝刊(2004年2月6日)

    (追記)日経新聞朝刊(2004年2月12日)によれば、SPJSFは、1月12日付けで買い付け価格を1550円に引き上げ、公開買付期間も2月23日までに延ばしました。 私の予測は、外れました。

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