■J_Coffeeの徒然草(34巻)■
牛熊比率(前編) |
松井証券は、ネットストックランキングとして、上位10社の出来高等を毎日公表しています。
手口が分からなくなった現状では、個人投資家の売買動向をつかむ資料として貴重だと思います。 例えば、10月17日、4位のソフトバンクの出来高は、2,481,100株です。
東証のソフトバンクの出来高は、24,179,500株です。 松井のシェアは、次の式で計算すると5.13%となります。
2を乗じるのは、売りと買いがあるからです。松井の市場占有率が知りたいところです。 平均シェアを越えていれば、個人の取り引きが、活発化していると言えそうです。
出来高の次の欄は、牛熊比率です。
牛と熊の比率というネーミングは、傑作です。
買い=ブル(牛)、売り=ベア(熊)なのは、説明するまでもないでしょう。
次の式で計算できます。
この比率により売りと買いの比率を把握できます。50%超は買い越し、50%未満は売り越しを意味します。 例えば、10月17日のソフトバンクの出来高は牛熊比率は54.8%でした。
買いは1,359,600株、売り1,121,500株で、238,100株の買い越しです。
平均単価が7,062円という点も公表されています。
17日のソフトバンクの終値は、7,030円ですから、32円の含み損というところまで、分かります。 同日のヤフーの牛熊比率は、66%。買い越しが顕著です。
長期間、結果を累積させれば、人気銘柄についての個人投資家の腕前が丸見えです。
松井のメルマガが手元になく、バックデータが分からないのが、残念です。
◆◆そういえば、全体のデータは、個人、法人、外人別に東証が発表していますね。◆◆
◆◆
これ利用して、個人投資家の実現益をそのうち計算してみます。◆◆
◆◆明日は、W&Qに期待しています。◆◆
牛熊比率(後編) |
スミレさんのご好意から、松井のメルマガのバックナンバーが手に入りました。 この場をかりて、厚く御礼申し上げます。
ソフトバンクについて、10月1日〜22日までを分析したのが、次の表です。
この間の松井証券経由のソフトバンク出来高は、24,903,000株で、平均単価は5957.5円。 マイナスで表示されているのが、牛熊比率が50%を割った日の売り越し株数です。
熊日の売り越し株数累計は、548,300株で、その加重平均単価は5,431.1 円です。
牛日の買い越し株数累計は、801,900株で、その加重平均単価は6535.1円です。
昨日の終値は、5210円ですから、差し引きの買い越し分253,600株は、20.28%の含み損です。
売り越し | 買い越し | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出来高 @(千株) | 牛熊比率 A(%) | 平均単価 B(円) | B×@(千円) | 数量C= (A×2-100) ×@ | 金額B×C | 数量C= (A×2-100) ×@ | 金額B×C | |
2003/10/1 | 550 | 52.8 | 4724 | 2,598,647 | 30.8 | 145,524 | ||
2003/10/2 | 707 | 52.1 | 4845 | 3,423,196 | 29.7 | 143,774 | ||
2003/10/3 | 508 | 47.7 | 4774 | 2,422,839 | -23.3 | -111,451 | ||
2003/10/6 | 563 | 40.9 | 4749 | 2,671,356 | -102.4 | -486,187 | ||
2003/10/7 | 2119 | 45.2 | 4971 | 10,533,549 | -203.4 | -1,011,221 | ||
2003/10/8 | 2577 | 50.5 | 5184 | 13,359,168 | 25.8 | 133,592 | ||
2003/10/9 | 1433 | 51.9 | 5228 | 7,491,724 | 54.5 | 284,686 | ||
2003/10/10 | 1333 | 48 | 5399 | 7,196,867 | -53.3 | -287,875 | ||
2003/10/14 | 2239 | 50.8 | 5740 | 12,851,860 | 35.8 | 205,630 | ||
2003/10/15 | 2259 | 52.8 | 6167 | 13,931,253 | 126.5 | 780,150 | ||
2003/10/16 | 2372 | 48.3 | 6627 | 15,719,244 | -80.6 | -534,454 | ||
2003/10/17 | 2481 | 54.8 | 7062 | 17,520,822 | 238.2 | 1,681,999 | ||
2003/10/20 | 1,422 | 55.5 | 7089 | 10,081,182 | 156.4 | 1,108,930 | ||
2003/10/21 | 2702 | 52.5 | 6676 | 18,038,552 | 135.1 | 901,928 | ||
2003/10/22 | 1639 | 47.4 | 6417 | 10,517,463 | -85.2 | -546,908 | ||
合計 | 24,903 | 148,357,722 | -548.3千株 | -2,978,095 | 801.9千株 | 5,240,688 | ||
加重平均単価 | 50.509% | 5,957.5円 | 5,431.1円 | 6,535.1円 |
ついでに、9月のデータです。
売り越し分の加重平均3,972.2円に対して、買い越し分の加重平均4,530.4円。
松井を利用する個人投資家は、株価が高くなると買い越し、安くなると売り越す傾向があるようです。
もっとも、9月の差し引き買い越し、1,082.8-868.1=214.7千株は、まだ売っていないとしても15%も含み益があります。
売り越し | 買い越し | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
出来高 @(千株) | 牛熊比率 A(%) | 平均単価 B(円) | B×@ (千円) | 数量C= (A×2-100) ×@ | 金額B×C | 数量C= (A×2-100) ×@ | 金額B×C | |
2003/9/1 | 399 | 39.6 | 3458 | 1,379,067 | -83.0 | -286,846 | ||
2003/9/2 | 2618 | 50.1 | 3813 | 9,982,434 | 5.2 | 19,965 | ||
2003/9/3 | 2908 | 55.8 | 4263 | 12,396,804 | 337.3 | 1,438,029 | ||
2003/9/4 | 1572 | 47.2 | 4058 | 6,379,176 | -88.0 | -357,234 | ||
2003/9/5 | 1096 | 50.7 | 3899 | 4,273,304 | 15.3 | 59,826 | ||
2003/9/8 | 2181 | 51 | 4219 | 9,201,639 | 43.6 | 184,033 | ||
2003/9/9 | 2189 | 51.8 | 4419 | 9,673,191 | 78.8 | 348,235 | ||
2003/9/10 | 2097 | 46.4 | 4269 | 8,952,093 | -151.0 | -644,551 | ||
2003/9/11 | 2028 | 53 | 4457 | 9,038,796 | 121.7 | 542,328 | ||
2003/9/12 | 1195 | 42.7 | 4432 | 5,296,240 | -174.5 | -773,251 | ||
2003/9/16 | 1691 | 52.5 | 4580 | 7,744,780 | 84.6 | 387,239 | ||
2003/9/17 | 2212 | 52.4 | 4847 | 10,721,564 | 106.2 | 514,635 | ||
2003/9/18 | 1192 | 49.9 | 4810 | 5,733,520 | -2.4 | -11,467 | ||
2003/9/19 | 1,904 | 53.2 | 4956 | 9,435,227 | 121.8 | 603,855 | ||
2003/9/22 | 962 | 55.2 | 4795 | 4,612,052 | 100.0 | 479,653 | ||
2003/9/24 | 1,441 | 46.9 | 4643 | 6,690,905 | -89.3 | -414,836 | ||
2003/9/25 | 965 | 44.6 | 4367 | 4,215,056 | -104.2 | -455,226 | ||
2003/9/26 | 859 | 44.2 | 4399 | 3,778,227 | -99.6 | -438,274 | ||
2003/9/29 | 885 | 45.7 | 4647 | 4,111,350 | -76.1 | -353,576 | ||
2003/9/30 | 758 | 54.5 | 4806 | 3,641,522 | 68.2 | 327,737 | ||
合計 | 31,151 | 137,256,947 | -868.1千株 | -3,448,415 | 1,082.8千株 | 4,905,535 | ||
加重平均単価 | 50.345% | 4,406.2 | 273,134,827 | 3,972.2円 | 4,530.4円 |
よく考えてみると、個人が買い越すときは、より情報を持っていそうな機関投資家や外人が売り越している確率が高いわけです。
◆◆そこで、この2ヶ月間の結果を踏まえて提案です。◆◆
◆◆熊日が続く安いところを買って、◆◆
◆◆牛日が続く高いところを売るという戦略は、どうでしょう?◆◆
◆◆明日は、休みます。◆◆
誰にも解けない難問 BINGOゲームの確率(前編) |
昔、忘年会の幹事をやらされたとき、座を盛上げるのが苦手な私は、BINGOゲームで時間を潰しました。
BINGOゲームは、説明するまでもありませんが、5×5に並んだ数字が一列に並べば上がる、というゲームです。 真中は、最初から開いているので、当たりの数字は24個です。
抽選は、1〜75までの75個の数字で行われることが多いようです。各自のカードは、乱数表で作られ、同じ配列はありません。
5 | 17 | 31 | 49 | 68 |
12 | 20 | 44 | 46 | 75 |
1 | 26 | free | 49 | 61 |
15 | 24 | 40 | 55 | 67 |
8 | 29 | 38 | 59 | 73 |
BINGOは、最初はなかなか当たらず、やがて当選者が加速的に増加し、ピークを過ぎると少なくなります。 正規分布に似た確率分布だと思います。
最後に当たる人にも景品を上げるべきですね。
71回目。奇跡的に運の悪い人でもBINGOとなります。
最短コースは、Freeを利用して4回で当たります。この確率を計算しましょう
分子は、Freeを中心に縦1、横1、ナナメ2の数字のセットで4通り。
分母は、75個から4個を選ぶ組み合わせで
最短コースの確率P4は
100人程度の忘年会で、4回目にBINGOという人は、インチキか奇跡的に運がいいかどちらかです。
5回で当たる確率は、数学の得意な人にとって、一見簡単そうですが、落し穴があるかもしれません。
P4+P5+P6+・・・+P71=100%となるはずです。 正しい答えは、この足し算で検証できます。
ところが、いくら計算しても、この難問は解けません。
私もExcelで挑戦しましたが、諦めました。
◆◆この方も、苦労されています。参考◆◆
◆◆
答えを見つけられた方は、ぜひ教えて下さい。◆◆
誰にも解けない難問 BINGOゲームの確率(後編) |
先日、ある方から貴重なメールをいただきました。 skydaddyさんは、私のコラムを見て、夜中にBINGOゲームの確率を計算されたそうです。
この経緯は、skydaddyさんのホームページに掲載されています。 9回目以降の計算が間違っているそうですが、かなり正解に近いような気がします。
skydaddyさんには、英語のサイトに完全な解答が公開されていることも教えていただきました。
残念ながらプログラムを使い、力ずくで解く方法のようです。
算数からほとんど進歩していない私の頭では、評価できません。
ピークは、75個の真ん中の38回目になると思ってました。しかし、正しいピークは43回目でした。 この時の当選確率は3.92%。100人でゲームをやれば、4人も同時当選です。これは、景品が不足してヒンシュクをかった私の経験と一致します。
◆◆skydaddyさんのホームページのメインは、◆◆
◆◆ビジネスに使える英語です。◆◆
◆◆
どうも、ありがとうございました。◆◆
◆◆もっと難しい問題を探してみます。◆◆
双六の上手といひし人に・・ |
意の如くならざるもの鴨川の水、双六の賽、山法師の三つのみ・・・ |
三例外を除き、全てが自分の思い通りになった人物は、1086年院政を創設した白河上皇です。
この年号は「父、hello→トウ(10)ハロー(86)」と覚えました。
上皇は、院政という父権システムをつくることで、藤原氏の母権支配から実権を取り戻します。
鴨川の治水は、困難な工事だし、御輿を担いで強訴する延暦寺の僧兵は、扱いにくい存在だったのでしょう。 双六遊びが好きな権力者は、「サイコロの目が、思い通りに出せない」と一つだけシャレを入れたのだ・・・
子供時代から信じていた最後の解釈は、どうも間違っているようです。
双六は、平安時代に庶民の間で大流行しますが、ゲームというより大金を賭けるギャンブルです。
当然のことながら、時の権力者・白河上皇は、双六=賭博を禁止したはずです。
庶民のギャンブルに対する欲求は根強く、いくら禁止しても規則を破るものがでてくる。
一日中仕事もしないでギャンブルに耽る奴が多くて、困ったものだわい・・・
そんな真面目な独白というのが、正しい解釈のようです。
徒然草の作者・兼好法師も、双六賭博の名人について、次のように記述しています。
第110段 双六の上手といひし人に、その手立を問ひ侍りしかば、 |
この言葉は、日本最古の賭博格言かもしれませんね。
◆◆「株も勝とうと思わず、負けないように、◆◆
◆◆少しでも長続きするように取り引きしなさい」ということですね。◆◆
システム障害で、 差益をだした東証 |
東証の株式売買システムは、2000年5月に構築されました。
3年以上問題のないシステムなのに・・・
2003年10月3日の後場が始まった直後、みずほフィナンシャルグループの取り引きにおいて、そのシステム障害は発生します。
買い手がいないのに、297,000円で1128株が、突然、約定します。
取り引き金額は、3億3500万円。統計には、この取り引きは自動カウントされなかったようです。参考1
3日のみずほフィナンシャルグループの出来高は、 346,486 株です。10月1日は610,898株、2日は735,248株の出来高がありましたから、障害が起こった日に、取り引きが異常集中したわけではない気がします。
東証は緊急処置をとり、自ら、この取り引きの買い手となります。
幸い週末だったので、4日(土曜日)にプログラムのバグを修正し、実験で確かめることが出来たようです。参考2
週明けの6日寄り付き、東証はこの株を投売りします。
なんと2,369万円も儲けてしまいます。
わずか半日で、+7.07%というのは、機関投資家でもマネ出来ません。
売却益は、公認会計士と相談した上で処理をするそうです。ソフトを作った上場企業も、胸をなでおろします。
◆◆この前例は、東証にとって、かなり危険な気がします。◆◆
◆◆
今日の日本電子(3000万株の買い注文を残した)あたりで、◆◆
◆◆障害が発生して空売りしてしまったら、いったい、どうするんでしょうか?◆◆
◆◆明日は休みます◆◆
海外比率が85%以上の企業 |
円高が止まりません。29日の東京外国為替市場の円相場は、一時111円10銭をつけ、約2年10か月ぶりの円高だそうです。
遅ればせながら、為替に影響される企業をリストアップしたいと思いました。
四季報に【海外】という欄があり、比率が書いてあります。 全企業からベスト10を選び出しました。
問題は、この解釈です。 輸出比率なのか、海外生産比率なのかは、企業によって違ってくるようです。
海外比率 | コード | 銘柄 | |
---|---|---|---|
100% | 6815 | ユニデン | コードレス電話機中国で生産 |
99% | 6969 | 三井海洋開発 | 浮体式石油・ガス生産設備 |
97% | 9123 | 太平洋海運 | タンカー不定期専用船中心のオペレーター |
93% | 6432 | 竹内製作所 | アメリカ向けミニシャベルが得意 |
92% | 6476 | 富士テクニカ | 自動車用プレス金型 |
90% | 6592 | マブチモーター | 小型モーター世界シェア5割。全量海外生産 |
90% | 9132 | 第一中央汽船 | 不定期船大手。 |
85% | 6222 | 島精機製作所 | 電子制御横編み機。117円を予想 |
85% | 6839 | 船井電機 | AV機器中堅。北米に強い。 |
85% | 7613 | シークス | 電子部品、自動車部品の商社。海外に拠点。 |
例えば、島精機製作所は、電子制御横編み機を国内で生産して、海外に輸出している企業のような気がします。 117円と予想した水準を越えてしまった円高は、かなり厳しいでしょう。
マブチモーターは、100%海外生産ですから、日本に輸入する小型モーターは、かなり追い風を受けそうです。
◆◆このリストは、多分、円高の恩恵を受ける企業と◆◆
◆◆円高で厳しい試練に遭う企業が、混在していると思います。◆◆
◆◆
仕事が、忙しくなり、2日間ほど休みます。◆◆
ニッポン放送と村上世彰氏 |
次の表は、フジテレビジョンとニッポン放送の時価総額を計算したものです。ラジオ放送会社が、テレビ放送会社より時価総額が低いのは当然です。
ニッポン放送(東証2部) | フジテレビジョン(東証1部) | |
---|---|---|
発行済株数 | 32,800,000株 | 1,074,304株 |
株価(2003/9/26) | 4,500円 | 541,000円 |
時価総額 | 1,476億円 | 5,812億円 |
両社は親子関係にありますが、際立った特徴は、小さい親が、大きい子供を支配している点です。 つまり、ニッポン放送は、フジテレビの株を346,000株(32.2%)も保有する筆頭株主なのです。
このフジテレビ株の資産価値を計算すると・・
となり、ニッポン放送の時価総額を超えてしまうのです。
同社の有利子負債は167億円に過ぎず、自己資本比率は、76.8%です。 これは、明らかに矛盾しますね。
村上世彰氏率いるMACが、ニッポン放送株に目をつけたのは、こうした発想からだと思います。 MACのニッポン放送の持ち株比率は、現在7.37%、鹿内宏明氏の9.8%に続いて、2位の大株主です。
この影響で、ニッポン放送の株主数は2003年3月末には898名に減り、上場廃止の危機を招きました。 同社は、8月1日単元株を100株から10株に変更して、対策を講じました。
村上氏は、フジサンケイグループ・ホールディングズを設立させ、両社の株式を移転させようと提案しているようです。 参考
◆◆株式移転比率を財務内容に応じたものにするのが、狙いでしょう。◆◆
◆◆
今後どうなるかは知りませんが、◆◆
◆◆村上氏の主張には一理あるような気がします。◆◆
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