■J_Coffeeの徒然草(23巻)■

---目次---
  • 大きな流れには逆らわない(短期トレードの勧め)
  • 西友偽装肉返金騒動(前編)
  • 西友偽装肉返金騒動(後編)
  • カリスマ主婦のインサイダー取引
  • 幻の国宝と船成金(前編)
  • 幻の国宝と船成金(後編)

  • (2002/10/9)
    大きな流れには逆らわない
    (短期トレードの勧め)

    今日の日経平均は、最安値の更新です。小泉さんは、思い切った補正予算さえ組まないようです。適切なデフレ対策も講じず、不良債権の処理を断行するわけですから、株価に影響しそうです。

    なんと無謀なと思いますが、仕方がありません。大きな流れには逆らわず、そうした環境に適応するまでのことです。

    私は、株を長期間持つつもりはありません。かといって、この水準で売るのも危険。

    株は、30年続いた趣味ですから、細く長く、全面撤退の危険は避けたいと思います。

    具体的な戦略とは・・・ズバリ短期トレード

    一昨日、「値段に惚れて買わないよう努力します」といいながら、実は今日、三菱証券を買ってしまいました。 落ちてくるナイフを見ると発作的に素手で掴みたくなる性格には、いつも苦労しています。

    底値と思ったのですが、さらに下がり含み損です。

    もっとも三菱証券は合併に絡むTOPIX買い390万株が、
    10月11日(当初8月30日と言われたものが延期された)に期待できます。

    保有予定期間は3日間ですが、明日の相場が少し不安です。

    さて、10月18日は、新規上場一ヶ月後のNECフィールディングに、TOPIX買いの入る日です。
    こうした時期ですから、できる限り期日に近くなってから買う方が、よい結果が得られそうです。

    また、新之介さんの情報によれば、札幌市場のニトリが10月28日に東証(おそらく一部)に上場します。 残念ながら、公募100万株、売り出し35万株を行なうそうです。受渡日は28日です。

    札幌市場のニトリは、ネット証券では扱っていないところが多そうです。
    東証で取り引き可能になる28日(TOPIX買いの日)限定のデイトレード商品でしょうか?

    ◆◆ネット証券で、札幌市場が取り引きできるところがあれば、教えてください。◆◆
    ◆◆ 明日は、休みます。◆◆

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    (2002/10/15)
    西友偽装肉返金騒動(前編)

    札幌市の西友元町店は、2001年9月から2002年9月までの1年間に、「カナダ産豚ロース」と「米国産牛タン」を国産と偽装表示して販売していたことが発覚します。

    不正に販売した品物は94万円、価格差による不当利得は、たったの28万円でした。

    偽装表示した品物を買ったお客様には、損害賠償しないといけません。 偽者と本物の区別は、つきませんので、1年間に売られた「カナダ産豚ロース」と「米国産牛タン」の合計金額1380万円が対象になりました。一年前のレシートを保存しているお客様は、いないでしょう。

    担当マネジャーは、素朴な性善説を信じていました。

    レシートなしでも、期間中に豚ロースと牛タンを買ったお客様に返金する」
    という方針で臨みました。
    もちろん、住所、氏名は書かせました。

    9月27日、返金初日。

    張り紙を見た主婦が、合理的金額を申告して返金を受けます。しかし、次第にスーパーに来そうもない金髪の若者が目立ってきます。 返金額は、130万円に達します。

    9月28日

    ある若者が、十数万円を請求します。さすがに、店側もこれには、応じません。 いくらキャンプのバーベキュー用に「豚ロース」と「牛タン」のみを大量に買ったからといって、一日の売上を越えるはずがありません。

    折衝の結果、3万円の支払いで、妥結します。
    すると、不思議なことに、その後の人は、すべて3万円を請求するようになります。

    この金額は、トラブルを起こさない上限値と理解されたのです。
    インターネットや携帯メールで情報を聞きつけた若者が、西友に殺到します。

    「西友元町店に行けば、3万円もらえる」というわけです。
    長蛇の列ができ、商品販売に支障が出るようになります。
    車のナンバーは、旭川や室蘭。集った連中は、99%詐欺師と言ってよいでしょう。

    9月29日

    朝早くから、儲け話に若者が群ります。

    ◆◆西友は、店を休業して、返金作業に専念します。◆◆
    ◆◆ この続きは、明日発表です。◆◆
    ◆◆この件に関する情報や感想は、喫茶掲示板にお願いします◆◆

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    (2002/10/16)
    西友偽装肉返金騒動(後編)

    29日、西友元町店には、暴力団員風の男、暴走族、茶髪の若者などが長蛇の列をつくり、3時間待ちとなります。 身分証明書を提示させているわけではありませんので、住所、氏名はデタラメがほとんどでしょう。

    未成年の者(45人)に対して、西友は、合計131万円の返金を保留します。

    支払額の累計は、5000万円を突破します。
    返金対象の「豚ロース」と「牛タン」の全売上の約3.7倍です。

    「5000万円を越したので、返金は打ち切らせていただきます。
    残りは、特売セールで返金に代えさせていただきたいと思います。」
    西友社員は、深々と詐欺師たちに頭を下げます。

    「仕事休んで、来とるんだぞー。誠意を見せんかー。」
    西友が、約束した返金期限は、11日までです。暴力団達は、このままでは、おさまりそうにありません。

    9月30日

    詐欺師たちは、休業中の西友元町店に押し寄せます。西友は、警察の出動を要請していました。 札幌市と岩見沢市の19才の少年二人が警備員を殴り、現行犯逮捕されます。 西友は、4日まで休業に追い込まれます。

    10月4日

    札幌東署と道警捜査四課は、恐喝未遂の疑いで、札幌市東区北23東23、指定暴力団山口組系誠友会幹部、間明組組長、間明(まみょう)正男容疑者(56)を逮捕するとともに、札幌市内の組長宅のほか、誠友会本部など二カ所を一斉に家宅捜索します。

    間明は、暴力団組の名刺を見せるなどして、「代金の返却を求めて並んでいる約四十人の暴力団員を排除してやった。片手くらいでいい」などと手をかざしながら、西友から現金を脅しとろうとしていました。

    後に発表された警察の調べでは、暴力団員が十数人、元組員や暴力団とかかわりのある暴走族関係者らが50人程度、返金に参加していたそうです。

    10月5日〜11日

    5日西友は、営業を再開。レシート持参者に限定して、返金を再開します。

    返金を申し込んだのは、近所の主婦でした。 5日の営業再開後に同店が返金したのは192人、返金総額は45万5000円でした。

    保留になっていた未成年の返金申請は、「親にやめろ」といわれ、ほとんどが取り下げられます。
    また、現金を受け取った者8人が、合計38万8000円の金を自主的に戻しました。

    暴力団逮捕の効果で、詐欺で摘発されるのを恐れたのでしょう。

    最終結果

    ◆◆西友元町店の最終的な返金者数は1,778人、◆◆
    ◆◆返金額は5,065万8,000円に達しました。◆◆
    ◆◆ 歴史に残る、興味深い騒動でした。◆◆

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    (2002/10/25)
    カリスマ主婦のインサイダー取引

    マーサ・ステュアートは、夫と子供が一人のアメリカの主婦でした。 1975年に、彼女は、近所の仲間と、パンなどのベーカリー・グッズの販売を共同で始めました。

    彼女は、大変なやり手で、月刊誌の発行、新聞のコラム執筆、テレビ番組制作、新商品開発などを次々と成功させ、巨大企業のCEOにのし上ります。 マーサは、「カリスマ主婦」と呼ばれるようになります。

    最近では、インターネットを利用した事業を拡大しているようです。 さて、彼女は、株にも才能があるようです。

    次の表は製薬会社イムクローンの株価の推移です。

    イムクローンの株価の推移
    Date Open High Low Close Volume
    Dec-17-01 70.35 70.35 67.6 68.61 1,907,400
    Dec-18-01 68.7 68.71 63.5 65.75 4,881,200
    Dec-19-01 65.55 65.56 60.85 61.6 5,475,500
    Dec-20-01 61.36 64.11 61.2 63.47 2,922,800
    Dec-21-01 63.55 64.79 61.63 62.96 5,563,400
    Dec-24-01 63.46 63.5 62.2 62.8 914,400
    Dec-26-01 マーサ内部情報入手 62.42 64.83 62.41 63.62 1,490,700
    Dec-27-01 マーサ売却 63.49 63.5 57.47 58.3 7,730,100
    Dec-28-01 新薬が不承認 59 59.01 55.19 55.25 6,636,000
    Dec-31-01 45.39 47.69 43.35 46.46 18,505,700
    Jan-02-02 46.43 46.45 42.46 43.33 8,742,200
    Jan-03-02 42.34 44.07 39.95 41.27 7,116,200
    Jan-04-02 40.81 44.59 39.7 43.49 10,124,600
    Jan-07-02 34.96 37.24 33.85 35.83 21,758,800
    Jan-08-02 34.97 37.4 34.94 36.85 7,875,500
    Jan-09-02 36.08 36.73 31.4 31.85 16,927,400
    Jan-10-02 30.02 34.7 30.01 34.22 12,900,900
    Jan-11-02 34.91 35.5 32.76 32.8 4,252,700
    Jan-14-02 31.96 32 29.5 30.01 5,823,800
    Jan-15-02 29.7 32.7 29.65 32.08 5,587,800
    Jan-16-02 31.95 33.28 30.3 30.3 3,719,500
    Jan-17-02 30.79 31.25 29.98 30.08 3,267,100
    Jan-18-02 30 30.1 17 21.15 22,873,400
    Jan-22-02 19.55 20.27 18.7 19.15 12,760,100
    Jan-23-02 19.45 23 19.41 21.9 11,702,100
    Jan-24-02 21.35 21.73 19.06 19.58 7,718,000
    Jan-25-02 17.07 17.8 14.9 16.49 22,838,900
    Jan-28-02 17.39 18.39 16.43 17.9 8,751,600

    同社が開発中の抗がん剤は、奇跡の新薬との噂が立ちます。
    米食品医薬品局(FDA)も早期承認手続きに前向きでした。
    ビジネス雑誌に紹介されたこともあり、株価は暴騰します。

    マーサも4000株を保有します。

    広い分野に交友関係を持つ彼女は12月26日、知人からビッグニュースを仕込みます。
    奇跡の新薬が、近日中にFDAで不承認になるというのです。

    翌27日、マーサは4000株を63.49ドルで売却します。
    つまり、インサイダー取引です。この日の出来高は、7,730,100株の大商い。悪いやつは、マーサだけではありません。

    28日、新薬は、正式に不承認になります。株価は55.19ドルと4.0%も下落します。この段階でも、未発表と思われます。

    さて、我々庶民が、情報を知るのは31日の取り引きから・・・
    この日の寄り付きは、売りが殺到。前日終わり値より17.8%も安い45.39ドルで、寄り付きます。出来高は、18,505,700株でした。

    悪いことは、できません。

    2002年10月21日、ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)によると、米証券取引委員会(SEC)の法務執行部門は、マーサを証券詐欺で民事提訴するようSECに勧告する意向を固めたそうです。

    有名人マーサは「生贄の山羊」という気もしますね。

    ところで、カリスマ主婦が、不正に稼いだ金を計算すると、

    (63.49ドルー45.39ドル)×4000株×125円=905万円

    ◆◆う〜む、株に関しても、かなりのやり手ですね。◆◆

    ◆◆しかし、スキャンダルにより、◆◆
    ◆◆ カリスマ主婦ブランドのイメージダウンは深刻だ、と思いますね。◆◆

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    (2002/10/26)
    幻の国宝と船成金(前編)

    秋田の佐竹藩の末裔佐竹家には、大和絵の傑作が代々家宝として受け継がれていました。 現存する最古の歌仙図の佐竹本三十六歌仙絵巻です。

    鎌倉中期に藤原公任が和歌に秀でた36人(例えば小野小町)を選びました。この絵巻物は、歌人の姿を描くとともに、和歌を書き記したものです。 絵は藤原信実、書は後京極良経の作といわれています。

    もし、完全な形で残っていれば、国宝に指定されたのは、間違いないでしょう。

    1917年(大正6年)、華族の佐竹家は、家宝を売りに出します。
    この絶妙なタイミングで売りに出した佐竹家は、なかなかの相場師です。

    当時は、第一次世界大戦(欧州戦争)中、バブルの最盛期です。

    鉄、銅、船あらゆるものが高値で、飛ぶように売れます。

    株に関しても、何も考えずに全財産投入すれば、誰でも株成金になれました。

    山本唯三郎は、海運業で巨万の富を築いた船成金です。
    船成金の贅沢三昧の乱費には、多くの逸話があります。

    山本は、約200人を引き連れて朝鮮に渡り、虎狩りをして、帝国ホテルで虎肉の試食会を開いたことで有名です。

    別の船成金は、料亭の靴を履くときに暗いので、100円札を燃やして、灯りにしたそうです。

    三十六歌仙絵巻についた価格は、35万3000円。
    今の価格にしたら、35億円?ぐらいでしょうか。

    山本唯三郎は4000万円の預金があった、といわれています。
    彼は、一瞥しただけで、この絵巻物を衝動買いします。

    しかし、奢れる者久しからず。山本の栄華は、続きませんでした。

    ・・・・1917年8月30日・・・・

    多くの成金達は、儲けた資金で物資を買占め、売り惜しみして、インフレが進行していました。

    買占めによる物価高騰を封じ込めようと、寺内内閣は「暴利取締令」を発布します。
    穀類、鉄、石炭、綿糸などを買い占め、暴利をむさぼる者には、戒告、3か月以下の懲役または100円以下の罰金を科されることになったのです。

    ◆◆この日、暴利取締令を契機として、郵船株を筆頭に株価は大暴落します。◆◆
    ◆◆ 後場の立会いは、中止されました。◆◆
    ◆◆ これが、バブルの崩壊と気づく者は、まだ少なかったようです。◆◆

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    (2002/10/27)
    幻の国宝と船成金(後編)

    1918年3月、ドイツは、最後の大攻勢にでて、敵の塹壕を次々と破ります。

    しかし、ドイツは、アメリカ軍の増強部隊が到着すると行く手を遮られ、8月には、アラスの戦いで敗北します。

    戦局は、五分五分と思われました。
    ところが、ドイツ側の内部崩壊が状況を一変させます。

    1918年11月3日、キール軍港の水兵が反乱を起こし、ドイツ全土に広がります。
    9日、宮殿を民衆に取り囲まれたドイツ皇帝は退位します。
    11日、臨時政府が休戦協定に調印して、第一次世界大戦が終了します。

    ・・・・・・・さて、日本の成金の運命です・・・・・・・・・

    第一次世界大戦終了とともに、鉄価格が暴落します。

    1918年12月7日付の読売新聞によれば、「鉄成金の恐慌」という見出しで、

    「休戦と共に鉄暴落の声は、好景気に浮はついていた鉄成金の頭上に雷のように落下した、鉄商はその大小を問はず何れも少なからぬ打撃を蒙り中には没落に瀕せんとしている者もある」
    という記事が載っています。

    12月23日付の読売新聞によれば、「船成金の寝覚め 戦後海運界の乱調」の見出しで、

    「休戦の声をきいて先づ鉄成金は没落の兆を呈した、続いて船成金も」
    と海運不況の実態を報じています。

    「船の売買などが勿論ないのみならず、傭船するもの殆どなくなり、傭船料は漸落してもう昨の活気はみられない、近海の海運も外海の海運もいよいよ沈滞の気味がある」 という悲惨な状況です。

    借金して、船腹を増やしていた山本唯三郎も、どうすることも出来ず、すべての資産を失います。

    1919年、借金の取立てに追われた山本は、三十六歌仙絵巻を手放す決心をします。

    不景気で、絵巻を丸ごと買える者はおりません。

    三井物産初代社長・益田鈍翁の好意で、絵巻は37枚に分断され、37人の希望者が集ります。

    さて、誰がどの絵を買うか?
    皆が、お姫様の絵を希望して、坊主は嫌われました。
    そこで、坊主めくりのように、抽選で絵が決定されたようです。

    ◆◆山本唯三郎は、早い時期に絵巻を売却して得をしたようです。◆◆

    ◆◆ 1920年、株価が大暴落、銀行が破綻して、◆◆
    ◆◆ついに戦後恐慌と呼ばれる非常事態を迎えることになります。◆◆
    ◆◆売却した絵も、さらに暴落したと思います◆◆

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