■世界名作全集■

---目次---
  • スペードの女王(前編)
  • スペードの女王(中編)
  • スペードの女王(後編)

  • (2003/5/10)
    スペードの女王(前編)

    プーシキンの名作スペードの女王は、賭け事を題材にしており、私にとって忘れられない短編です。

    ・・・・・・・・・・・・・・

    ゲルマンは、爪に火をともす生活を送りながら、若いのに大金を溜め込んでいました。
    職場で、仲間達はファラオンに熱中していました。

    ファラオンというのは、19世紀に流行したトランプゲームです。 ゲルマンは、ファラオンを観ているだけで、賭けに参加はしません。

    彼は、丁半博打は、嫌いでした。

    ある日、ゲルマンは、87才の伯爵夫人が、ファラオンの必勝法を体得しているとの噂を聞きます。
    「なんとしても、その必勝法を知りたいものだ」とゲルマンは思います。

    ・・・・・・・・・・・・・・・

    伯爵夫人は着替えようとして寝室に入ると、見知らぬ男が立っています。

    その男は、「ファラオンの必勝法」を聞き出そうと女中の手引きで侵入したゲルマンでした。

    「お願いです。ファラオン必勝法を私に教えてください。私は、道楽者ではありませんし、金のありがたさを知っています。 稼いだ金は、決して無駄に使いません」

    老婆は、震え上がるばかりで、声がだせません。

    「この糞ババァめ!それなら、いやでも吐かしてやる!」
    とゲルマンは、懐から拳銃を取り出し老婆を狙います。

    蒼ざめた老婆は、後ろに反って、倒れます。
    恐怖のあまり、心臓が停止してしまったのです。

    ゲルマンは、ことの成行きを悔やみます。
    「拳銃には弾を込めていないのに」

    ・・・それから三日後・・・

    伯爵夫人の告別式を密かに訪れ、霊を慰めようとします。宗教心もないくせに、彼は、そうすることで祟りを防ごうとしたのです。

    ゲルマンが最後の別れを死体に告げようとすると・・・
    伯爵夫人は嘲るように片目をまたたいたような、気がしたのです。

    まわりの人は、何もなかったように振舞っています。
    疲れているので、錯覚に違いない。

    彼は、深酒をして眠りにつきます。

    その日の深夜・午前2時45分

    ゲルマンが自宅でふと目を覚ますと、枕元に誰かの気配がします。

    ◆◆彼が見たのは死装束の老婆・・・この世をさ迷う伯爵夫人の幽霊でした。◆◆
    ◆◆この続きは、明日発表します◆◆

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    (2003/5/11)
    スペードの女王(中編)

    「おまえにファラオンの三枚のカードを教えよう」
    と伯爵夫人の霊は、ゲルマンに語りかけます。

    「3・・・7・・・1・・・とこの順番で、賭けなさい。 一晩に一枚だけ、三日間の勝負です。
    この勝負が済んだら、おまえは死ぬまで、カードを手にしてはいけません。
    私を殺したことは、お前が、かわいそうな女中と結婚すれば許しましょう。」

    伯爵夫人の霊は、消えます。

    ゲルマンは、幻の数字を書き留めます。
    「やっと手に入れた幸運を信じて、舞台を選び、最大限生かさないと。」

    ・・・・・・・・・・・・・・

    上流階級の集うぺテルブルグの賭博場では、ファラオンが行われていました。
    ここで親役は、モスクワで最も有名なファラオンの名人・チェカリンスキー。

    ゲルマンは、みすぼらしい身なりで登場し、王者チェカリンスキーに勝負を挑みます。

    「掛け金は、いくらにしますか?」
    「47,000」

    ゲルマンは、手形を取り出して選んだカードの上におきます。
    それは、長い間、生活を切り詰めて貯めた全財産でした。

    通常の掛け金の最高額の約20倍です。
    観客は、息をのんで大勝負を見守ります。

    ゲルマンの心臓の鼓動が高まります。

    チェカリンスキーがカードを2枚配ります。
    右に「9」、左に「3」。

    右の数字と一致した場合は親の勝、左と一致すれば子供の勝です。

    ゲルマンの札がひっくり返されます。
    「もちろん3で、ゲルマンの勝ち!」

    チェカリンスキーから手形を受け取るとゲルマンは、帰宅します。

    ◆◆ゲルマンの見る世界は虹色に輝き、◆◆
    ◆◆身体は幸福で満ち溢れていました。◆◆

    ◆◆ 興奮を抑え、明晩の勝負のために早く寝ないといけません。◆◆

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    (2003/5/12)
    スペードの女王(後編)

    ・・・・二日目・・・・

    ゲルマンは、チェカリンスキーの賭博場を訪れます。
    膨れ上がったゲルマンの全財産が「7」の札に賭けられます。

    右に「ジャック」、左に「7」。
    ゲルマンの連夜の大勝利です。

    チェカリンスキーの表情が、苦痛で歪みます。
    ゲルマンは、明日も来ることを告げて去っていきます。
    満天の星を仰ぎながら、彼は呟きます。

    「明日勝ったら、一生カードには手を触れない。 大金持ちになって、美女が擦り寄ってきても、俺は伯爵夫人の女中と結婚し、必ず幸せにする。 約束は、守らないといけない。」

    ・・・三日目・・・・

    ゲルマンが、賭博場に入ると話し声はやみ、人の輪が彼を取り囲みます。
    席は、直ぐに譲られ、最後の対決が始まります。

    ゲルマンは、注意深く「1」に全財産を賭けます。 その表情は、自信で満ち溢れていました。

    チェカリンスキーのカードを配る手は、震えていました。
    偶然が続き過ぎます。この強敵は、伝説の秘法を知っているかもしれないのです。

    右に「女王」、左に「1」
    「やった」と叫んで、ゲルマンは自分の札をひっくり返します。選んだ「1」が出るはず。

    ところが・・・

    そのカードは「1」ではなく、いつの間にか「スペードの女王」にすりかわっていました。
    ゲルマンは、全財産を失い、チェカリンスキーは王者の貫禄を取り戻します。

    「そんな馬鹿な」とカードを見つめると・・

    「スペードの女王」は、嘲るように片目をまたたきます。
    伯爵夫人と生き写し・・・

    「あいつだ!」とゲルマンは絶叫します。

    ◆◆その後、ゲルマンは、精神を病んでいきます。◆◆

    ◆◆ 何を尋ねても返事をせずに、◆◆
    ◆◆「3・・7・・1」「3・・7・・女王」と呟くだけでした。◆◆

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    (参考文献)「スペードの女王・ベールキン物語」プーシキン著

    (注)原作をベースにかなり、脚色しています。


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