■経済史に学ぶ(戦後編3)■
IOSショック |
いざなぎ景気に兜町が浮かれていた1970年4月のことです。
3市場の信用買い残は、5000億円に達し、史上最高の水準でした。
突然、不気味なニュースが市場を駆け巡ります。 IOS(Investors Orverseas Services)という巨大な金融コングロマリットが、経営危機だというのです。
同社は、スイス・ジュネーブに本社があり、多くの投資信託を世界中で販売していました。 資金は、アメリカ株を主力にして、世界中の株式に投資していると言われていました。
当然膨大な日本株を保有しているかもしれません。
同社の実態は、秘密のベールに包まれていました。
4月30日、市場が始まる前から、投資家は疑心暗鬼に陥ります。
IOSが持ち株を投売りするのでは?
市場が始まると、証券会社の株価表示板は、売り気配一色に・・・
日付 | 日経平均 | 前日比 | 上昇(下落)率 | 出来高(万株) |
---|---|---|---|---|
1970年4月23日 | 2416.67 | -19.73 | -0.81% | 10312 |
1970年4月24日 | 2422.86 | 6.19 | 0.26% | 22847 |
1970年4月25日 | 2410.12 | -12.74 | -0.53% | 7498 |
1970年4月27日 | 2386.06 | -24.06 | -1.00% | 7761 |
1970年4月28日 | 2315.43 | -70.63 | -2.96% | 11466 |
1970年4月30日(IOSショック) | 2114.32 | -201.11 | -8.69% | 20300 |
1970年5月1日 | 2125.61 | 11.29 | 0.53% | 17668 |
1970年5月2日 | 2190.72 | 65.11 | 3.06% | 10110 |
1970年5月4日 | 2200.74 | 10.02 | 0.46% | 8959 |
1970年5月6日 | 2191.39 | -9.35 | -0.42% | 10821 |
1970年5月7日 | 2209.61 | 18.22 | 0.83% | 12538 |
1970年5月8日 | 2190.54 | -19.07 | -0.86% | 11910 |
1970年5月9日 | 2149.82 | -40.72 | -1.86% | 6073 |
1970年5月11日 | 2139.07 | -10.75 | -0.50% | 8184 |
1970年5月12日 | 2149.43 | 10.36 | 0.48% | 9699 |
1970年5月13日 | 2096.75 | -52.68 | -2.45% | 10238 |
1970年5月14日 | 2048.72 | -48.03 | -2.29% | 12808 |
1970年5月15日 | 2018.71 | -30.01 | -1.46% | 17356 |
1970年5月16日 | 2049.9 | 31.19 | 1.55% | 7779 |
1970年5月18日 | 2047.9 | -2 | -0.10% | 8786 |
1970年5月19日 | 1963.1 | -84.8 | -4.14% | 12596 |
この日の日経平均は、201.11円暴落して、終値は2114.32円となります(IOSショック)。
暴落率8.69%は、スターリン・ショックに次ぐ、戦後2番目の記録でした。
実は、IOSは、日本株を10数銘柄しか保有していないことが、明らかになります。
しかし、信用の追証は、強制的な投げを生み、株価は回復しません。
バブルが崩壊したアルプス、ミツミ電機などの値下がりは、特に厳しいものがありました。
5月19日、日経平均は2000円を割れてしまいます。
IOSの破綻は、単なるきっかけで、株価は、もともと下がる運命にあったのかもしれません。
◆◆いざなぎ景気も、同年の7月終焉を迎えます。◆◆
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IOSショックは、その前ぶれと言われています。◆◆
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