■IPOの研究■
IPO投資の失敗例に学ぶ |
さて、今年に入って、公開した銘柄のうち、初値が公募価格を5%以上下回った8銘柄をリストアップしてみました。銘柄は、損失率の大きいものが上に来るように順番を決めました。
先ず、驚かされるのは、公募割れ銘柄の上場日が2〜3月に集中していることです。 3月は、日経平均が7000円台に転落した月です。IPOの公募割れは、相場全体の雰囲気の影響を受ける気がします。
公募割れが一つの銘柄で起きたら、他の銘柄に波及する可能性が高く、 IPO投資から一時撤退するのが、正しい判断です。 |
一番右の欄は、公募価格で計算した予想PERです。公募割れ銘柄は、割安感が目立ちます。 PERが低いから、初値が高いと考えない方がよい気がします。もっとも、初値が低いだけで、その後値上がりした銘柄もあります。
上場日 | 銘柄 | コード | 市場 | 主幹事 | 仮条件 | 公募値@ | 初値A | 下落率 A/@-1 | 公開株数 | 注目度 | 予想EPS | 予想PER (公募価格) | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2月14日 | ビジネス・ワン | 4827 | Qボード | ディー | 5万-6万 | 6万 | 3.5万 | -41.6 | 2000 | B | (連結予想) 2003.3 | 1,119.47 | 53.6 |
3月6日 | 三光マーケティングフーズ | 2762 | ジャス | 日興 | 17.5万-21.5万 | 18.5万 | 12万 | -35.1 | 12075 | B | 単独予想) 2003.6 | 14,975.79 | 12.4 |
3月12日 | エフティコミュニケーションズ | 2763 | ジャス | 日興 | 26万-31.1万 | 26万 | 20万 | -23 | 3220 | B | (単独予想) 2003.3 | 59,216.62 | 4.4 |
3月25日 | ウィーヴ | 2360 | ジャス | 野村 | 12万-15万 | 12万 | 9.8万 | -18.3 | 4052 | B | (連結予想) 2003.6 | 17,419.28 | 6.9 |
3月7日 | 東京エレクトロンデバイス | 2760 | 東2 | 野村 | 57万-63万 | 57万 | 47万 | -17.5 | 7000 | B | (単独予想) 2003.3 | 63,304.35 | 9.0 |
3月13日 | 日本電技 | 1723 | ジャス | 野村 | 350-400 | 365 | 315 | -13.6 | 150万 | C | (単独予想) 2003.3 | 66.59 | 5.5 |
3月6日 | トシン電機 | 2761 | ジャス | みずほ | 800-920 | 920 | 850 | -7.6 | 200万 | C | (連結予想) 2003.5 | 115.14 | 8.0 |
2月4日 | ワイ・アリーバ | 2758 | マザ | FB | 6万-9.5万 | 8万 | 7.6万 | -5 | 7000 | B | (単独予想) 2003.3 | 7,042.74 | 11.4 |
公募割れを事前に察知する有力な基準が存在します。
それは、公募価格と仮条件との関係です。
8銘柄のうち、仮条件の上限価格で決まったのは、ビジネス・ワン とトシン電機 の2銘柄だけです。 3銘柄が下限値で決まり、3銘柄は中間値で決まりました。
仮条件の上限値で公募価格が決まらない場合、申し込みを止めれば、 75%の銘柄の損失を避けることが出来ました。 |
注目度は、株式会社トレーダーズ・アンド・カンパニーさんのものを使わせて頂きました。 さすがにAのものはなく、Cが2銘柄含まれています。Bだからといって、安心は出来ません。
◆◆現在のIPOバブルは、いつかは崩壊するでしょう。◆◆
◆◆
そのときの参考になると思います。◆◆
◆◆
明日は、成功例を調べてみましょう。◆◆
セイコーエプソンは、 初値で売るべきだった |
IPOの経験が浅い私が新シリーズを立ち上げるのは、知識不足です。そこで、当分の間、得意分野の東証一部への直接上場銘柄に限定して、調査したいと思います。
さて、今日は、セイコーエプソンの上場日でした。一日チャートをご覧下さい。
セイコーエプソン
午前9時、公募価格(2600円)の特別買い気配は、約2,700万株の買い超しでした。 10分間隔で、公募価格の5%(130円)ずつ、気配値は上昇していきます。
8回目の更新(3640円)の5分後・・・ようやく3,690円で寄り付きます(10時25分)。
公募で手に入れ、この瞬間売った人は、42%の利益です。
しかし、その後は熱気が感じられず、安値引に終わります。
寄り付き天井
上場日のこの値動きは、一般的なものでしょうか?
興味を持った私は、野村総研と大同生命についても、調べてみました。
三社とも初値が公募売し価格を大幅に上回った例です。
銘柄 | セイコーエプソン | 野村総合研究所 | 大同生命保険 | |
---|---|---|---|---|
上場日 | 2003年6月24日 | 2001年12月17日 | 2002年4月1日 | |
上場時発行済株式数 | 191,864,592株 | 4500万株 | 1,500,000株 | |
公開株数 | 公募4000万株、売出1077万株 (OA450万株を含む) | 公募200万株、売出1160万株 | 売出633,215株 (OA3.5万株含む) | |
公募売出価格 | 2600円 | 11000円 | 270000円 | |
上場日 | 初値 | 3690円(+41.9%) | 14850円(+35%) | 320000円(+18.5%) |
高値 | 3740 | 14850 | 320000 | |
安値 | 3510 | 13800 | 304000 | |
終値 | 3510 | 14050 | 306000 |
寄り付き天井が一般的で、初値で売却するのが正解のようです。
◆◆3社とも1ヶ月後には、TOPIX買いですが、◆◆
◆◆野村総研と大同生命は、どう動いたか?◆◆
◆◆
明日、発表したいと思います。◆◆
セイコーエプソンの今後を占う |
さて、過去の大型直接上場銘柄2社のTOPIX買い比率を調べてみました。
TOPIX買い比率は、野村総合研究所が3.84%、大同生命保険が4.95%とかなり高くなっています。 エプソンの場合は、3.7%と仮定しても7,099,000株ほどの需要が見込まれます。
一番下の欄は、公開株数Bを上場時発行済株数@で割って、公開比率を算出したものです。 この値が26.46%と3社の中で一番小さいエプソンは、TOPIX買いの影響が少し大きいと見なせます。
セイコーエプソン | 野村総合研究所 | 大同生命保険 | |
---|---|---|---|
上場時発行済株式数@ | 191,864,592 | 45,000,000 | 1,500,000 |
TOPIX買いの出来高A | 7,099,000(推定) | 1,725,800 | 74,179 |
TOPIX買いA/@ | 3.7%(推定) | 3.84% | 4.95% |
公開株数B | 50,770,000 | 13,600,000 | 633215 |
公開比率B/@ | 26.46% | 30.22% | 42.21% |
さて、大同生命と野村総研の株価の動きです。 最安値は、どちらも三日目でした。初値と比べると
大同生命は-8.75%、野村総研は-9.63%の値下がりです。 今日(二日目)のエプソンの安値は3390円で、初値と比べると-8.13%の値下がりです。高値については、大同生命は12日目と1ヵ月後の347000円で初値の+8.44%、野村総研は12日目の16540円で初値の+11.3%の上昇です。
◆◆3日目の安値で買い、先回り買いで上がる12日目の高値で売る。◆◆
◆◆
たった、2例では、確かなことは言えませんが、御参考にはなったでしょうか?◆◆
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
2002年4月1日(上場日) | 320,000 | 320,000 | 304,000 | 306,000 | 143,634 |
2002年4月2日 | 301,000 | 309,000 | 295,000 | 298,000 | 29,901 |
2002年4月3日(上場後3日目) | 293,000 | 303,000 | 292,000 | 300,000 | 17,969 |
2002年4月4日 | 299,000 | 307,000 | 296,000 | 301,000 | 19,712 |
2002年4月5日 | 300,000 | 301,000 | 299,000 | 301,000 | 10,820 |
2002年4月8日 | 298,000 | 303,000 | 298,000 | 301,000 | 11,347 |
2002年4月9日 | 303,000 | 323,000 | 302,000 | 317,000 | 38,600 |
2002年4月10日 | 323,000 | 333,000 | 318,000 | 333,000 | 40,905 |
2002年4月11日 | 338,000 | 339,000 | 326,000 | 337,000 | 20,870 |
2002年4月12日 | 332,000 | 336,000 | 327,000 | 336,000 | 17,626 |
2002年4月15日 | 335,000 | 341,000 | 331,000 | 339,000 | 15,155 |
2002年4月16日(上場後12日目) | 339,000 | 347,000 | 337,000 | 347,000 | 19,044 |
2002年4月17日 | 342,000 | 346,000 | 339,000 | 343,000 | 14,684 |
2002年4月18日 | 340,000 | 343,000 | 338,000 | 339,000 | 7,524 |
2002年4月19日 | 336,000 | 338,000 | 330,000 | 334,000 | 7,739 |
2002年4月22日 | 331,000 | 340,000 | 331,000 | 334,000 | 8,540 |
2002年4月23日 | 332,000 | 334,000 | 325,000 | 327,000 | 9,885 |
2002年4月24日 | 323,000 | 327,000 | 321,000 | 325,000 | 8,792 |
2002年4月25日 | 325,000 | 334,000 | 325,000 | 333,000 | 11,669 |
2002年4月26日 | 332,000 | 335,000 | 328,000 | 335,000 | 8,533 |
2002年4月30日 | 333,000 | 338,000 | 329,000 | 336,000 | 15,246 |
2002年5月1日(TOPIX買い) | 341,000 | 347,000 | 338,000 | 347,000 | 74,179 |
2002年5月2日 | 342,000 | 344,000 | 335,000 | 341,000 | 12,008 |
日付 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
2001年12月17日(上場日) | 14,850 | 14,850 | 13,800 | 14,050 | 6,566,900 |
2001年12月18日 | 14,000 | 14,080 | 13,810 | 13,900 | 1,358,100 |
2001年12月19日(上場後3日目) | 13,890 | 14,100 | 13,420 | 13,960 | 921,800 |
2001年12月20日 | 14,100 | 14,290 | 13,930 | 14,230 | 533,800 |
2001年12月21日 | 14,300 | 14,580 | 14,100 | 14,550 | 508,000 |
2001年12月25日 | 14,550 | 14,550 | 14,060 | 14,100 | 140,700 |
2001年12月26日 | 14,300 | 14,940 | 14,200 | 14,890 | 416,300 |
2001年12月27日 | 15,090 | 15,490 | 15,060 | 15,320 | 835,900 |
2001年12月28日 | 15,500 | 15,520 | 15,310 | 15,380 | 229,200 |
2002年1月4日 | 15,580 | 15,620 | 15,100 | 15,310 | 168,800 |
2002年1月7日 | 15,490 | 16,130 | 15,390 | 15,900 | 585,500 |
2002年1月8日(上場後12日目) | 15,990 | 16,540 | 15,910 | 16,080 | 718,700 |
2002年1月9日 | 16,050 | 16,300 | 15,900 | 16,100 | 400,800 |
2002年1月10日 | 16,300 | 16,350 | 15,920 | 15,920 | 231,000 |
2002年1月11日 | 16,100 | 16,100 | 15,730 | 15,850 | 190,900 |
2002年1月15日 | 15,250 | 15,450 | 14,750 | 14,930 | 452,500 |
2002年1月16日 | 15,100 | 15,300 | 14,800 | 14,990 | 374,800 |
2002年1月17日(TOPIX買い) | 14,970 | 15,320 | 14,900 | 15,300 | 1,725,800 |
2002年1月18日 | 15,200 | 15,250 | 15,070 | 15,130 | 438,300 |
初値の上値は公募価格の約2倍 |
以前、「初値のストップ高は青天井」と間違ったことを書いてしまいました。
タイムさんから、ご指摘があり次の通り訂正します。
初値の上値は基準価格(公募価格)の約200%、 下値は基準価格(公募価格)の約75%です。 |
”約”と書いたのは、あと少し値幅制限を広げると約定する場合、上記基準を上回って値段をつけるケースがあるからです。
一度初値がつくと、その価格に対して、新しいストップ幅が決まり、上限値と下限値になります。
さて、夢の200%上値の実例が、今日でました。
今日東証2部に上場した三井海洋開発は、三井造船の子会社で、浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計・建造、据付、販売、リースおよびオペレーションを主な事業にしています。
公募価格が1000円でした。値段は、次第に釣りあがり、2,000円になっても買い気配のままでした。
2003年12月の予想連結EPSは68.75円です。公募PERは14.5倍。
公募価格は安かったでしょうが、あっという間に2倍!
思わず溜息が出てしまいます。
今日の段階の株価に発行済株数29,017,000株を乗じると、時価総額は580億円です。
一方、親会社三井造船の時価総額が1,313億円です。
明日の初値上限は4,000円、両者の時価総額が接近することに矛盾を感じますね。
東証も次の規制を行いました。
さて、前回紹介したNECエレクトロニクスは、仮条件が3600円〜4200円に決まりました。
IPOの好調につけこみ、少し高めに設定したようです。
三井海洋開発を比較してしまうと物足りませんし、公募割れの危険性だってゼロではありません。
三井海洋開発より、もっと面白いIPOはないか?
そこで、いろいろ探したら、ドワンゴを発見しました。
同社は、独立系の携帯電話向けコンテンツ開発会社。着メロサイト「40メロミックス」(月額300円)が主力コンテンツ。
◆◆着メロ業界では会員数4位、売上高2位と言われています。◆◆
◆◆
170万円で手に入れば、初日2倍は請合いますが、◆◆
◆◆入手は宝くじ並の高倍率でしょうね。◆◆
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