■合併銘柄のINDEX買いの研究7■

---目次---
  • セブン&アイホールディングが9月1日誕生(前編)
  • セブン&アイホールディングが9月1日誕生(後編)
  • 子会社は、親会社の株を持てない(フランスベッドH)

  • (2005/4/21)
    セブン&アイホールディングが
    9月1日誕生(前編)

    イトーヨーカ堂 、セブンイレブン・ジャパン 、デニーズジャパン のグループ3社が、9月1日付で株式移転の方式で、持ち株会社(セブン&アイホールディング)を設立すると発表しました。資料

    株式移転比率は、イトーヨーカ堂(1.2) 、セブンイレブン・ジャパン(1) 、デニーズジャパン(0.65)です。 発行済株数に移転比率をかけ、セブン&アイホールディングの発行済株数を計算すると1,346,380,800株となります。

    もちろん、3社とも、東証1部企業です。

    イトーヨーカ堂とセブンイレブン・ジャパンは、日経平均採用銘柄なので、8月末に1000万株×1.2の除外売りが予想されますが、たいした影響はないでしょう。

    さて、各社のウェイトと計算するとイトーヨーカ堂(37.3%) 、セブンイレブン・ジャパン(61.1%) 、デニーズジャパン(1.6%)となります。

    ウェイトの低いイトーヨーカ堂は株価が変動しやすく、ウェイトの高いセブンイレブンの株価は変動しにくい性質があるのでしょう。

    次の計算を行い、3社の株価を比較できるようにします。

    換算株価=(株価Eー株式交付移転金G)÷株式移転比率@

    20日のイトーヨーカ堂の終値は、セブンイレブンと比べて12.5%も割高なことが分かります。

    今日のイトーヨーカ堂の暴落は、以上の理由で起こりました。

    イトーヨーカ堂 セブンイレブン デニーズ 合計又は加重平均
    株式移転比率@ 1.2 1 0.65
    株式交付移転金(8月予定)G 16 21.5 15.5
    3社のウェイトの算定 発行済株数A 418,717,000 822,889,000 32,356,000
    @×A=C 502,460,400 822,889,000 21,031,400 1,346,380,800
    ウエイトD 37.3% 61.1% 1.6% 100%
    4月20日の株価の比較 終値E 3910 2905 1984
    換算株価
    (E-G)÷@
    3,245 2,884 3,028 3,021
    指数表示 112.5% 100.0% 105.0%
    4月21日の株価の比較 終値F 3470 2855 1897
    換算株価
    (F−G)÷@
    2,878 2,834 2,895 2,851
    指数表示 101.6% 100.0% 102.2%

    3社の換算株価を次の式で加重平均してみます。

    加重平均換算株価=
    (イトーヨーカ堂の換算株価)×0.373+(セブンイレブンの換算株価)×0.611+(デニーズの換算株価)×0.016

    21日の加重平均株価は2851円となり、20日の3021円と比べ5.63%の値下がりです。

    ローソン(+1.51%)、ファミリーマート(+1.58%)、イオン(-1.57%)と他社の21日の株価と比べ下がりすぎの気がします。 セブンイレブンが下がったのは、納得でないですね。(ホールダーのぼやきです)

    持ち株会社設立発表直後の3社の株価
    イトーヨーカ堂

    セブンイレブン

    デニーズ

    さて、イトーヨーカ堂は、セブンイレブンやデニーズの株を50%以上保有しています。
    この株は、親会社(セブン&アイホールディング)の株と交換されます。

    ◆◆「子会社(イトーヨーカ堂)は、親会社の株を持てない」わけで、◆◆
    ◆◆将来、イトーヨーカ堂による売却の心配をされるかもしれません。◆◆

    ◆◆ 結論からいうと、実に巧妙な方法で、イトーヨーカ堂はこの問題を解決しました。◆◆
    ◆◆ この辺は、後編で書きます。◆◆

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    (2005/4/26)
    セブン&アイホールディングが
    9月1日誕生(後編)

    イトーヨーカ堂は、セブンイレブンの株を416,550,000株(50.6%)、デニーズの株を16,690,000(51.6%)保有しています。

    株主移転比率をそれぞれに乗じて、合計すると、イトーヨーカ堂(子会社)は、セブン&アイホールディング(親会社)の株(427,398,500株)を保有することになります。

    商法第211条ノ2によれば・・・
    株式移転によって、例外的に子会社が親会社の株を持つ場合、子会社は相当の時期に、この株を処分することを要します。

    4億株を超える量を市場で売却したら、大変です。

    これを回避するために、完全子会社イトーヨーカ堂は、2006年3月を目途に新イトーヨーカ堂と中間持株会社とに会社分割します。

    新イトーヨーカ堂は、旧イトーヨーカ堂のほぼ全事業を承継します。
    そして、中間持株会社は、親会社(セブン&アイホールディング)の株式(427,398,500株)を保有するペーパーカンパニーです。

    イトーヨーカ堂 セブンイレブン デニーズ 合計
    株式移転比率@ 1.2 1 0.65
    発行済株数A 418,717,000 822,889,000 32,356,000
    @×A=C 502,460,400 822,889,000 21,031,400 1,346,380,800 セブン&アイホールディングの
    発行済株数 (9月1日)
    イトーヨーカ堂持株B 416,550,000 16,690,000
    @×B=D 416,550,000 10,848,500 427,398,500 2006年3月の中間持株会社の持株
    D−C 918,982,300 セブン&アイホールディングと中間持株会社が合併。
    金庫株を消却後の発行済株数

    そして、最終仕上げは、セブン&アイホールディング(親会社)と中間持株会社の合併です。

    ◆◆つまり問題の427,398,500株は、親会社の自社株(金庫株)となります。◆◆

    ◆◆ 金庫株を消却すれば、TOPIX売りとなりますが、◆◆
    ◆◆浮動株比率の導入後では、影響は少ないかもしれません。◆◆

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    (2004/5/19)
    子会社は、親会社の株を持てない
    (フランスベッドH)

    フランスベッド(東証1部、3月24日上場廃止)とフランスベッドメディカルサービス(非上場)は、株式移転により子会社になり、両社の親会社フランスベッドホールディングスが誕生しました。

    フランスベッドHの株価に異変が起きたのは、5月12日〜17日の4日間です。
    異常な出来高を伴いながら、株価が下がっていきます。

    「大株主の売りではないか?」と私は考えました。

    17日の市場終了後、フランスベッドHは、「子会社の所有する親会社株式の処分に関するお知らせ」の発表を行います。 5月12日付で、子会社「フランスベッドメディカルサービス」が所有する親会社「フランスベッドH」の株350万株を20億円で証券会社に売却したというのです。 証券会社による一括買取方式でした。

    この証券会社は、買い取った株を上記4日間で、市場で売却したと思われます。
    旧フランスベッドの大株主名簿(2003年9月)によれば、次の記載があります。

    1位、フランスベッドメディカルサービス------903万株
    7位、日マスト信信託口(フランスベッドメディカルサービス)----333万株

    通常、フランスベッドHの新株券が発行されるのは、5月20日頃と推定されます(間違っていたら、教えてください)。 それまでは、売れないとみるのが有力です。

    しかし、保振制度を利用していそうな7位の分は、売れる可能性が高いと思います。 株数が合わない点は、3月末の名簿が公表されたらチェックしたいと思います。

    これが、同社株暴落の真相でした。

    追加上場分@ 147,907,500
    日付 始値 高値 安値 終値 出来高A A/@
    2004年5月11日 588 639 588 615 1,316,000 0.89%
    2004年5月12日 609 609 531 575 3,461,000 2.34%
    2004年5月13日 585 627 552 582 2,266,000 1.53%
    2004年5月14日 592 610 486 513 2,014,000 1.36%
    2004年5月17日 438 444 413 413 3,358,000 2.27%
    2004年5月18日 418 491 410 461 5,143,000 3.48%
    2004年5月19日 464 480 425 459 5,391,000 3.64%

    350万株という大株主売りの全体像がつかめたことで、安心感が広がります。 5月18日、株価は反発します。

    この日の寄り付きは、買いのチャンスでした。

    さて、これからがメインテーマです。

    商法第211条ノ2によれば

    @親会社の株を子会社が取得することは、出来ません。

    A株式交換、株式移転、会社の分割、合併などは、
    例外的に子会社は親会社の株を持てます。

    BAで親会社の株を持つ場合においては、
    子会社は相当の時期にこの株を処分することを要します

    正確には、こちらをどうぞ。
    さあ、大変!

    フランスベッドMS(子会社)は12,367千株 (うち3500千株は売却済)、 旧フランスベッド(子会社)は8,836千株の親会社株を持っています。

    相当な時期とは、具体的にどのくらいの期間なのか?
    ご存知の方は、教えてください。

    どう処分するかは知りませんが、危険な香りが漂います。

    ◆◆こんな会社の株を、新規に買ってはいけません。◆◆

    ◆◆ 合併コバンザメ投資には、◆◆
    ◆◆「子会社が持つ親会社株チェック」が不可欠なようです。◆◆

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